◎片思い少女


フレ←リズ


 遠い遠い片思い。いつか実るかな、なんて甘い夢を見た。
 いつだってフレデリクは正しくて、私は御転婆王女。いたずらが好きで、大人っぽいお姉ちゃんとはかけ離れた妹君。あーあ、いつか幸せになれたらなあなんて談話室にたまたまいたルフレさんにぼやけば、そうなのかいと首を傾げられた。
「みんな幸せになっていくんだもん。やになっちゃう」
「リズも結婚に憧れてるんだね」
「女の子だもん」
 大好きな人に告白されること、結婚の約束すること。何もかも輝いていて、私が一人で空回ってるのが馬鹿みたいに思った。
 フレデリクはいつも正しい。だから、どれだけアピールしても身分を考えて私と結ばれたいなんて絶対に思ってくれないし、受け入れてもくれないだろう。ああ、寂しいな、気が重くなる。
「意外だね、リズは諦めたりしないと思ってたよ」
「私だって色々考えてるんだよう!」
 明日はお兄ちゃんの結婚式。きっと国中が祝福するのだろう。身分も申し分無く、見るからに幸せそうな二人。あーあ。
「私もフレデリクと結ばれたいな」
「それはリズ次第だね」
 じゃあ僕はこれでとルフレさんは部屋を出て行った。談話室に残された私。ひとりぼっち。寂しいなと、改めて思った。



11/05 15:49
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