◎輝く蝶々


グラハウ

 知らない街にいた。ああ夢だな、そう思う。読めない字、曇り空、霧まで出ている。ああどうしようと思ってるとひらひらと何かフェアリータイプのような光がした。振り返るとそこにはきらきらと煌めく蝶々がいた。普通の動物、生き物。ポケモン以外のそれは滅多に見ることがないから、おれは驚いてその子を追いかける。きらきら、ひらひら、待って! 叫んで、雑踏の中を走った。やがて、声がする。蝶々はいつの間にかおれの指に止まっていた。
「ハウ! 起きろ!」
 そう言われて、意識が浮上する。ああ、この子ともお別れかと飛んでいく光る蝶々を見つめる。素敵な冒険をありがとう。そう伝えて、おれは目が覚めた。
 時間は昼だった。魘されてたぞとおれの額をタオルで拭うグラジオに、そんなことないよとおれは笑った。
「とってもいい夢だったんだからねー!」
 友達だって出来たんだからと笑えば、グラジオは全くと苦笑した。


10/16 01:34
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