◎かじかむ手を温めて
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グラハウ
作業用BGM→アフターダーク
落ちた花の行き先はどこだっていいはずなのに。
何度目かのチャンピオン戦。今日も勝てなかったやとハウはポケモンリーグから出てきた。
「あいつ、リーリエが帰るまでチャンピオンで居続けるって宣言してたぞ」
「ええー、それいつなのー?」
チャンピオン戦を見守ってくれていたグラジオに、ハウははあとため息を吐く。白い息に、ここは寒いなとグラジオはハウの手をとった。どうしたのとハウが言うと、白くてふわふわとした手袋をグラジオは取り出してハウの手につけた。
「これ、なにー?」
「手袋だ」
「それぐらいわかるよー!」
プレゼントなのかとハウが問えば、グラジオはそんなところだとそっぽを向いた。恋人同士になってからもうしばらく経つのに、グラジオはなかなか慣れないらしい。かくいうハウも慣れているわけではなく、手袋を頬に当ててへへと笑っていた。
「とりあえずポケモンセンターに行くぞ」
「あったかいエネココア飲みたいねー」
「奢る」
「え、いいって。むしろおれがグラジオに奢らなくちゃ」
手袋のお礼に、とハウは笑って、グラジオの手をとった。
「ほら、指先真っ赤ー」
「オレはいいんだ」
「よくないよー!」
はらり、雪が舞う。ハウはまたはあと息を吐いた。白い息。グラジオが渡した白い手袋と同じ白色。はらり、はらり、雪が舞うのはまるで。
「花びらみたい」
「……どうした」
ううん、何でもないとハウは告げて、一人、雪の花びらの先を見た。
落ちた花の行き先はどこだっていいはずなのに、どうしておれは気になるのだろう。
「きっと、その先がグラジオだったら嫉妬しちゃうからかな」
「……どうした?」
「ううん。何でもなーい!」
早くポケモンセンターに行こうよとハウはグラジオの手を引っ張って歩き始めたのだった。
09/03 18:14