◎ここではないどこかで
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グラハウ/現パロ系謎パラレル/書きたいところだけ書きました。
崩れたコンクリート、錆びた鉄筋、どこかに溜まる、雨水のにおい。
「グラジオー、隠れてないで出てきてよー」
おれが悪かったからとランドセルを背負ったまま、廃墟へと足を踏み入れた。ライチュウが滑るように走って、シルヴァディを探してる。するとひょこりと日差しのある方からシルヴァディが顔を出した。そこにいたんだ、おれはそう思って駆け出した。
小石や瓦礫につまずきそうになりながら走れば、ぱっと視界が明るくなる。見えたのは放置された土地。だけど、草が生い茂って街には無い自然が、そこにはあった。
木が無いのが残念だと思いながら、くるりと辺りを見回すと、シルヴァディが瓦礫を登って行っていた。続くライチュウに、待ってよとおれも続く。
瓦礫の山を登ると、廃墟の屋上についた。ところどころ朽ちたコンクリートに、危ないなあと思いながら、見つけた人影に思わず駆け寄る。
「グラジオ!」
グラジオは驚いて振り返り、走るな危ないと叫ぶ。
「落ちるぞ!」
「グラジオがこんなところに居なきゃいいんでしょー!」
全くもうとふくれっ面を作れば、ああオレが悪かったとグラジオは非を認めた。
そうして顔を上げて屋上から見えた景色は、どこまでも続く海だった。
「海だ!」
「懐かしいか?」
「昔じーちゃんと遊びに行ったかなあ」
そうじゃないと目を伏せるグラジオに、おれは何だろうと思いながらライチュウの頭を撫でる。
「そういえば中学校はどうなのー?」
「別に、小学校と大して変わらない」
「人、少ないもんねー」
静かな漁師町、人が少なく、ポケモンが多いここでは、学校は小中一緒でクラス分けも無い。低学年と高学年、中学生の三つで分けてるだけだ。
ハウ、グラジオが声をかけてくる。なあに、返事をした。
「もし、オレ達がもっと違う世界で出会っていたらどうする?」
なにそれと言える空気ではなかった。だから、考える。考えて、考えて、思いついたのは当たり前の景色。
「ライチュウとシルヴァディと、グラジオと一緒にバトルでもしてるんじゃないかなー」
そしてきっと、今と同じぐらい楽しんだと笑えば、グラジオはふっと笑って、そうだなと言ってくれた。
08/29 21:30