◎この血の中には呪いが流れてる
グラハウ/診断のお題をお借りしました
時折、母親の夢を見る。
自分の右手の首を見る。そこに見える青い血管には血が流れている。その血は、父親と母親の血が半々になって、混ざり合って、流れているらしい。
(これは呪いだ)
どう足掻いても、オレは消えた父親を忘れられないし、狂ってしまった母親を忘れられない。父親は今でも行方が分からないが、母親は狂気から脱しようと努力している。そんな事は分かっている。それでも母親の、あの"愛"とやらがおれの首を絞める。髪のように細い糸が、絡まってできた不出来なロープがオレの首を絞めていく。そのロープは髪の毛みたいに細いもので出来ていているのに、その色は赤だ。鮮血の赤ではない。赤黒い、呪いの詰まった赤だ。
(苦しい)
苦しいんだ。息が出来ないんだ。だからオレははくはくと地上に出た魚みたいに口を動かす。ああ、溺れてしまう。えら呼吸なんて出来なくて、肺呼吸もできないんじゃ、オレは溺れて死ぬしかないじゃないか。
「グラジオ」
そう呼ばれてふわりと抱きしめられて、オレはパッとの前が見えた。呪いみたいな血のロープもなければ、酸欠状態の歪んだ視界もない。クリアな風景が、そこにはあった。
「だいじょうぶ、だいじょうぶ」
よしよしとオレの背中に手を回して撫でるのはハウで、その腕がオレのロープを解いてくれたのだと知った。
ハウだって辛いことがあるだろう。だけどそれでもオレはハウに救いを求めたんだ。
「今日はゆっくりしようよー」
二人でできるボードゲームとかあったかなと、彼は明るく笑っていた。
05/25 19:07