◎全部知ってたんだ


グラハウ/年上らしいグラジオさんを書きたかった


 全部、知ってたんだ。
 ハウは質問した。隣に立っても良いかな。グラジオは答えた。勿論だろう。
「大事なものってね、増えていくばかりなんだってー」
 ライチュウ達、友達、村のみんな、カプに認めてもらうための特訓、そしてグラジオ、きみそのもの。
「いつか手から零れ落ちてしまうからー、どっかで自分から捨てなくちゃいけないんだってー」
 いっとう大切なものを守るために、二番目や三番目を手のひらから突き落としていく。その過程をハウは表面だけの笑顔で語る。
「オレもいつか捨てちゃうのかなー」
 グラジオは後悔したのかなと、ハウは言った。

 黙って聞いていたグラジオは、ああそうさと突きつける。
「後悔した、悪夢も見た、涙を流したこともあった」
 それでも、とグラジオは強い瞳でハウを見た。
「守りたいものを守れたんだ」
 そうしてハウに手を伸ばし、囁く。
「もしお前が俺を捨てるなら、その時は俺がお前の手を掴み続けよう」
 お前の一番だなんて自惚れてはいないからなと笑ったグラジオに、ハウはくしゃりと破顔した。
「だいすき、グラジオ、だいすきだよー」
「ああ、俺もだ」
 だから安心して大切なものを抱えていると良いなんて、グラジオは笑ったのだった。


12/19 00:25
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