マノンとダイゴ
トンデモ捏造/レックウザの巫女という名の花嫁になるマノンさん/アラン→←マノン、レックウザ→マノンを含みます
きっと最後の約束なんです。
そう、笑ったマノンの目は優しく細められていて、僕はそうかと言うしかなかった。服装は何時もと同じもの。ただし、その胸元には七色に輝くペンダント。キーストーンが埋め込まれた美しい装飾具。
「本当に、彼に会わなくていいんだね。」
見送るしかない歯痒さ故にそう言えば、マノンは微笑みを崩さずにむしろもっと優しい顔になる。
「いいんです。それがアランにとってもいいことだから。」
「君の気持ちはどうなる?」
強い口調で言えば、マノンはほんの少し顔を歪めて苦笑した。
「神様の前にわたしは無力なんです。」
ダイゴさんも知っているでしょうと。神様と対峙したのはわたしだけではなかったと。それに当てはまるのは、アランもだと。
「何もできないなら、その苦しみを何度も味わってほしくないんです。わたしの妄想かもしれないけれど。」
「アランは確かに君のことで苦しんでいる。それは僕もだし、他にも……。」
「ありがとうございます。」
マノンはただ、ただ幸せそうに。
「こんなに幸せな気持ちになれるなんて思わなかったや。」
嬉しそうに。一歩、下がる。それは祭壇への一歩だ。くるりと祭壇へと向き、歩き出す。僕は止める言葉なんてかけられず、それを悔しい気持ちで見つめるしかない。祭壇に身を差し出す直前、マノンは顔を上げた。それは彼と会話するときの角度で。
「アランとの約束、最後の、守りたかったなあ。」
最期の時まで共にいたかった、と。