▼ 同族を愛でる
Apr 2, 2015(Thu.) 02:16
紫劉/同族を愛でる


 差し出された手のひらを見つめ、ため息を隠さず吐いてから飴玉を落としてやる。なのに不満そうな顔をするものだから疑問に思う。紫原が欲しがるものは菓子類ぐらいだと思っていた。
「劉ちん、手。」
 そうして差し出された手が揺れるものだから仕方なくその手に手を重ねた。
「甘えん坊とか、似合わないアル。」
「何で。」
「図体がデカすぎるアル。」
「それなら問題ないじゃん。」
 そう言うと紫原は僅かに口角を上げた。
「おんなじくらいだし。」
 そういう問題ではないだろう。



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