予選トーナメント終了後
実力テストも無事終え…
誠凛高校バスケ部は練習を再開した

ゴンッ

「火神くん、練習禁止でしょ!?」
「や、見てたらがまんできなくて」
確かに周りが練習してる中、自分だけが参加できないなんてツラいとは思うけど…

「秀徳戦で痛めた足、まだ治ってないんでしょ?」
「大丈夫だよっす、もう全然…っつ」
「全然大丈夫じゃないじゃん…」
呆れてため息をついた直後、

「休めって言われても練習するのは真面目とは言わないのよ」

リコが後ろから火神くんの頭を思いっきり叩いた

「こーゆうのは繰り返すとクセになるからやめなさい!
幸い今年は大会側の都合で決勝リーグまで2週間あるわ
今週一杯は休養にあてること!明日土曜日は来なくていいわ
あと日向くん!
あとでメール回すけど、明日ウチ休館になったからいつものやつ時間のばすわよっ」

いつものやつ?
意味がわからず首を傾げると、俊くんが意味深に苦笑いを浮かべた
え、そんなに嫌な練習なの?
「ストレッチはいつも以上に入念にねー」

意味が分からないまま連れて来られたのは『相田スポーツジム』
なんでも、リコのお父さんが経営するスポーツジムらしい

「なんかいつもの練習のがキツそうに見えるんだけど…」
「さゆ、あんたの彼氏の表情見てみなさい
そんなこと言えなくなるから」
「え?」
視線をリコから俊くんに移してすぐ、リコの言葉の意味がわかった

「水中は浮力があるから体を痛めにくいのよ
まぁ、それと同時に抵抗もおっきいから超キツいんだけど」
「…なるほど」

「はい、1分休憩ー」
「あーキッツいマジ!!」
リコのかけ声でみんな一斉に身体を休める

「お疲れ様、俊くん」
「あーマジキツい…ッ」
水中にいながら汗を浮かべている姿を見て思わず笑ってしまった

「あ、さゆ」
「うん?」
「絶対その上着脱ぐなよ」
リコが水着姿になったのを見て上着を脱ごうとした私に俊くんがすかさず言った言葉だ

「本日2回目ですよ」
「いーから、脱ぐな」
「はいはい」
あまりに念入りに言う姿を可愛く思ったとき、

「面白い練習してますねー」

可愛らしい声が耳に飛び込んできた

「え、誰?」
「…桃井さん」
「黒子くんの知り合い?」
「えっ…と、どちら様?」
「え〜と…なんて言えばいいのかな〜?」

日向くんをしゃがんで見下ろしていた女の子はリコの質問に、立ち上がりながら

「テツくんの彼女です
決勝リーグまで待てなくて来ちゃいました」

と可愛く笑いながら言った

「テツくん?」
「黒子テツヤくん」
「ええええええッ!!」
一拍子置いて響いた悲鳴に頭がキーンとなった

「黒子ォ、オマエ彼女いたの!?」
「違います、中学時代マネージャーだった人です」
帝光の?
てか、決勝まで、って…次の対戦校の人!?

「テツくん!?ひさしぶり、会いたかったー!!」
「苦しいです、桃井さん」
桃井さんの胸が顔に当たっても平然としてる黒子くんに驚きつつも、発狂してる部員を見てため息をついた

「ちょっ…いやいやいや
でもなんで黒子!?さえねーしウスいしパッとしないしっ」
何この悪口のオンパレード

「え〜そこがいいんですよ〜
でも試合になると別人みたく凛々しくなるとことかグッときません?あと…アイスくれたんです」
アイス?

桃井さんの話を聞いて、あぁ、となんとなく納得した
…きっと黒子くん、おなかいっぱいだったんだね

「だからホントはテツくんと同じ学校行きたかったのー!!けど…けど…」
「桃井さん…」
まぁ、恋なんてどこで落ちるかわかんないもんね。
私のきっかけは数学だったし…
だから桃井さんが黒子くんを好きになったきっかけ、納得しちゃうんだよね

「…俊くん、やらしー表情」
「は?」
「桃井さん胸おっきいもんね、しかもスゴい可愛いし…」
ムスッとした表情をすれば、俊くんは笑いをこらえるように肩を震わせた

「なんで笑って…ッ」
「さゆがやきもちなんて珍しいし…なんか可愛くてさ」
「かわっ」
一気に顔に熱が集まったのがわかった
相変わらず、俊くんが唐突に言う言葉には慣れない…

「チラ見してんじゃねぇよー!!」
リコの悲鳴とものすごい音に反応して振り返れば、リコに殴られた日向くんがいた

「日向さん死んじゃいますよー」
「えっなんでオレの名前を…」
「知ってますよー。
誠凛バスケ部主将でクラッチシューター日向さん
イーグルアイを持つPG伊月さん
無口な仕事人でフックシューター水戸部さん
小金井さんと土田さん」
え、それだけ?

小金井くんと土田くんの情報の少なさに驚いていると、

「ギリギリBのカントク、リコさん」
「ふざけんなぁ!!」
なんで知ってんの!?
まさかのリコのバストサイズが暴露されてしまった

「そして、伊月さんとラブラブなマネージャー、さゆさん。ちなみにバストは…」
「言わなくていいです!!」
怖いよ、桃井さん…ッ!!

「桃井さん…やっぱり青峰くんのとこ行ったんですか」
「…うん。テツくんと一緒の学校に行きたかったのは本当だよ?…けど、アイツほっとくと、何しでかすかわかんないからさ…」

−黒子くんと桃井さんの表情になぜか胸がざわついた



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