勝った

そう実感してリコと向き合った瞬間、

「なんでだよ!!」

津川くんの声がコートに響いた

「誠凛なんて去年できたばっかのとこだろ!?
練習だって絶対ウチの方がしてるのに!
去年なんて相手にもなんなかったのに!
強いのはどう考えてもウチじゃんか…ッ」

「…ちょっと殴って、」
「やめなさい」
なんかイラッとして、津川くんの元に行こうとした私をリコが腕を引きながら止めた

去年できたとか関係ない
練習だって他校より劣ってるだなんて全然思わない
なのに、それを否定されて無性に腹が立った

「やめろ津川」
「だって…」
「強い方が勝つんじゃねぇ…勝った方が強いんだ」
「そゆこと〜。さ、整列いこーぜ〜」
津川くんに声をかけた岩村さんと春日さんを見て、怒りが静がに収まっていくのを感じた

悔しさは津川くんと変わらないはずなのに、誠凛を認めてくれたのが嬉しくて、

「73対71で誠凛高校の勝ち!!」
「ありがとうございました!!」
審判の声とみんなの声を聞いたら思わず視界が滲んできてしまった

「リコぉ…ッ」
同じように目に涙を溜めているリコに抱きつく。
まだ試合があるのはわかってるんだけど…
どうしても涙腺が緩んでしまう

「さゆー…ッ」
リコに抱きしめ返されたと思ったら、頭を撫でられる感覚

「っ日向くん…」
「シャンとしろ、カントク、清水
まだ泣くとこじゃねぇよ。喜ぶのは、次の決戦に勝ってからだ」
日向くんの言葉を聞いて、リコと頷く

3時間後、決戦リーグ進出校が決まるんだ…

「体冷えないようにすぐ上着きて!あとストレッチは入念にね!」
「疲労回復にアミノ酸、あと、カロリーチャージもしてねっ」
「さゆ、マッサージできる?」
「リコみたく上手くできないけど、一応は」
「足を痛めさせなければいいわ。さゆもやってちょうだい」
「ん、りょーかい」
食べ物と飲み物をカバンから出して俊くんの前に座る

「…痛くない?」
「大丈夫、ちょうどいいくらい」
ちょこちょこ話しながらマッサージを続ける
…なんか、いまさらなんだけど、

「なんかエロいよな、これ」
「…ッ!!」
今、まさに思ったことを言われて手が止まってしまった

「あっさゆも思った?」
「っ思ってないっ」
「さゆのエッチ」

耳元で囁かれて顔に熱が集中する

「っ俊くんはマッサージ終わりッ」
そう言って他の部員のところに行ってマッサージを始める
…俊くんの意地悪…ッ

「あっ」
ふと、目に入った人物を見て動きを止めた

「ねーリコ、火神くん寝ちゃってるんだけど」
「えぇ!?ちょっコラ火神!!
寝たら体固まっちゃうでしょーが!!」

ゆさゆさと揺らすけど、全く起きる気配はない
…まぁ、あれだね

「次の試合に備えてるんだよ、きっと」
笑って言ってロッカーに寄りかかって寝てる火神くんの足元に飲み物を置いてマッサージを再開した

そして、17:00

「いや〜……疲れた!今日はもう朝から憂鬱でさ〜
2試合連続だし、王者だし。正邦とやってる時も、倒してもう1試合あるとか考えるし…
でもあと1試合、もう次だの温存だのまどろっこしいことはいんねー
気分スッキリ、やることは1つだけだ!ぶっ倒れるまで全部出しきれ!!」
「おお!!」

秀徳との試合が始まった



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