「第2Q残り4分でもう30点差…
さすが…ってカンジね」
リコの言葉に小さく頷いて再びコートを見る

秀徳 38
錦佳 8

スゴいなぁ…
でも、

「やってることは変わんないのに、なんかスゴい簡単そーにバスケやるんだね」
「それはミスがねーからだよ」
呟きに対して返事がきて驚いたけど、答えてくれた日向くんを見る

「バスケってのは常にハイスピードでボールが行き交うスポーツだからな
ただパス捕るだけでもファンブルは珍しくねー
けど強いとこってのは例外なく、投げる・捕る・走るみたいな
当たり前の動きからキッチリしてんだ
カンタンそうに見えるってのはつまり…基本がガッチリできてるってことだよ」
「じゃあ、基本をマスターできたらあんなに強くなれるの?」
そんなんだったら、強豪校がかなりできるよね

「ま、あくまで基本だ
それ以上の理由が当然ある…それは」
日向くんが秀徳の4番に注目する。
私も見ていると、ちょうどダンクを決めたところだった

「絶対的なスコアラーがいるってことだ…」

「すげぇダンクッ」
「マジあれ高校生!?」
「はー…すごい…」
感嘆の声を漏らしながら手に持っていたノートをパラパラと捲る

「さゆ、なにそれ?」
「敵校の情報ノート
過去に戦った相手のみなんだけどね…」
伊月くんにノートを見せながら秀徳メンバーの名前を見る

大坪泰介
198cmの98kg
…198って、高校生だよね?

「去年まではインサイド主体のアウトサイドは普通だったよね?」
「あぁ、大坪メインのな」
「…今年はさらに厳しいよね。あのループの高さ異様だもん」
ボールを放った緑間くんを見て呟く

投げてから高尾くんと戻ってるしね

「うっ…おっおおお…!」
「すげぇ、100発100中!?これが…
『キセキの世代』No1シューターか!!」
緑間くんのシュートが決まってすぐ客席から大きな歓声が響いた

「…えげつないシュート打つな〜
てか、入る前に緑間DF戻ってるし、カウンターできなくね?」
「着弾までの時間が異常に長いし、精神的にくるよね…」
それに、

「なんかまだあるよねー…」
そんな私の呟きは

「うわぁぁっ圧倒的…今年の秀徳は…強え!!」

そんな歓声にかき消された

「よーし、じゃあ帰…」
「…るな〜!!」
「いてぇっ」
リコは帰ろうとしたみんなの頭を後ろから叩くと、

「今日、もう一試合あんのよ!バカか…バカなのか!」

と怒鳴った

「冗談だよっ暗いムードだったからさー」
「…なら…」
「え?マジ!?」
「やっぱバカか!バカガミか!!ちゃんと表見とけ!」
「リコ落ち着いて」
肩をポンッと叩いて火神くんに怒鳴っていたリコを落ち着かせる

「予選4回戦と最終日は二試合ずつやるんだよ
17時から5回戦
…改めて考えると1日二試合ってムチャだけどね」
時間空くっても疲れるしさ

「準決勝に決勝も1日だよね」
「ホント無茶苦茶だよな…」
すでに疲れてる伊月くんに苦笑いする

「レモンのはちみつ漬け、いっぱい作ってくるよ」
「俺のためだけに?」
「みんなにッ」
顔が赤くなるのを感じながらちょっと伊月くんを睨む。そして、

「…伊月くんだけのも作ってくるけど」
そう言えば、嬉しそうに笑った伊月くんに頭を撫でられた

「わわっ」
髪の毛乱れるッ

「ちょっと…2年生も気づいてなかったの!?」

リコの驚いたような声に反応してみんなの方を見る

「最終日はおそらく準決勝は正邦!決勝は秀徳!
北と東の王者と二連戦なのよ!」

…マジで?

「マッジッかよ!?
13:00〜準決勝で17:00〜決勝!?死ぬし!」
「ちょっとこれ…さすがに弱音吐きそーだぞ!?」
「ハッ1日に二試合できて…
両方強ーんなら願ったり叶ったりじゃねーか!」
「いや、火神…さすがにこれは…ないって!」
「そもそも準決勝に勝てるかもわかんないのに…」
「どんな強がりだよ…なぁ黒子!」
そこで黒子くんにふる!?

「すいません。ボクもちょっとワクワクしちゃってるんですけど…」

黒子くんの言葉に1年生が固まる

「はぁ!?何、オマエも火神菌伝染ったの!?」
「なんだよ火神菌って!?」
「それは嫌です」
「なんか否定の仕方もムカツクぞ、黒子テメーッ」
みんなが騒ぐ中、黒子くんは冷静に言った

「でもピンチってちょっと…燃えません?」

それにすぐ反応したのはリコだった

「いいこと言ーじゃんッ好きよーそーゆーの!!
けどその前に5回戦あんだからね!
もう一度気を引き締め直して絶対勝つわよ!」

次に反応したのは火神くんで

「っしゃーっテンション上がってきた…
ちょっと練習して…」
「くんな!休めよ!!」
「せめてストレッチにしてよッ」

リコと2人して歩き出した火神くんを止める

やる気があるのはいいけど、ちょっとは自重してください



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