Ｉ・Ｈ予選１回戦
ＶＳ新協学園
セネガル人の留学生パパに苦戦するかと思われたが、予想を超える速さで成長する火神くんが圧倒し勝利
続く２回戦
ＶＳ実善高校
ここでも火神くんが４０得点と爆発し
さらに２年生、特に日向くんが絶好調
黒子くんを終始温存してもなお
１１８対５１で圧勝
そして３回戦
ＶＳ金賀高校
昨年東京都ベスト１６
攻守共にバランスのとれた強豪であるが−
「おおお!!」
火神くんのダンクに観客から歓声が上がった
なんてゆうか…
「…超順調」
「黒子くん？」
「いや…ちょっとムズムズするだけです」
うっわ…出たそーッ
隣の黒子くんを見て苦笑いをする
新協以降ずっと温存だもん
そりゃムズムズしますよね
Ｉ・Ｈ都予選４回戦
「…広い」
ホントに学校の体育館？
誠凛もこれくらい広くしてくれたらいいのに…
「さゆ、周り見渡さない。間抜けに見えるわよ」
「リコひどい…てゆか、広いんだもん。ここ」
「都内有数のマンモス校だからね
おかげで今日はすごいもん見れるわよ」
「え？」
すごいもの？
「決勝リーグを経て選ばれる東京都の代表３校はここ１０年ずっと同じ３校しかない。
東の王者・秀徳
西の王者・泉真館
北の王者・正邦
１位は毎年変わるが力が拮抗してるから４位以下はよせつけない
東京都不動の三大王者
今日ここは２会場分試合をやるから隣のコートに普通は他会場でやる
シード校が来る…つまり
『キセキの世代』緑間真太郎が加入し、今年北と西の制圧を目論む東の王者･秀徳高校が出てくる…！」
「けど…先輩たちも去年決勝リーグまで行ったんですよね!?」
「まぁ…手も足も出なかったけどな」
説明を終えた日向くんに１年生がすがるように尋ねたが、日向くんは頭の後ろに腕を回して困ったように返した
日向くんたちが弱いわけじゃない…
王者って、そんなに強いの…？
「その雪辱を果たすために１年間練習してきた！
しかも新勢力もいる！今年は必ず倒す!!
何よりまずは目の前の相手だ
集中して…」
「おいおい。今日の相手って誠凛だろ!?ヨユーだよ
去年決勝リーグでボコボコにされてたじゃん」
「いくら王者相手でもあれはねーって
新設校が偶然勝ち進んじゃっただけだよ！」
日向くんの言葉を遮って大声で入ってきた学校を睨む
なんなの？アイツら…
「今年もそうならないようオレらが代わりに…」
「あっ」
火神くんにぶつかった相手を見て唖然とした
え、めっちゃびびってません？
黒子くんと火神くんを見て冷や汗ダラダラじゃん
「なんか…すでに勝てそうな空気」
「なんなのかしらね？」
リコと首を傾げながらスコアボードの用意をする
どれくらい差つくかなぁ…
「１０８対４１と…」
スコアを口にして筆記する
腰引けっ放しだったな、明常学院
「さゆ」
「んー？」
リコに腕を引っ張られて顔を上げる
「来たわよ」
「え？」
「東京都三大王者の一角の東の王者…秀徳高校ッ」
「あれが…」
東の王者…
「えっちょ、さゆッ!!」
「今度はなに!?」
「火神くん連れ戻してきてッ」
「は!?」
「早くッ!!」
叩かれて痛む背中に涙が滲む
どんだけ強く叩いたのよ…ッ
「火神くん、早く戻っ…なにしてんの!?」
緑間くんの手のひらに自分の名前を書いた火神くんに言えば、
「フツーに名乗っても、いかにも『覚えない』とか言いそーなツラしてるんだよ、です
センパイ達の雪辱戦の相手にはキッチリ覚えてもらわねーと」
「普通に名乗りなよ！あーもうっすいませ、」
「フン、雪辱戦？ずいぶんと無謀なことを言うのだな」
「あ？」
メネを指で上げながら口を開いた緑間くんを見て、火神くんの腕を掴んでいた力を緩める
「誠凛さんでしょ？てか、そのセンパイから何も聞いてねーの？」
緑間くんの後ろからきた男の子は
「誠凛は去年決勝リーグで三大王者全てにトリプルスコアでズタズタにされたんだぜ？」
口角を上げながら楽しそうに言った
「息巻くのは勝手だが、彼我の差は圧倒的なのだよ
仮に決勝で当たっても歴史は繰り返されるだけだ」
…あ
なんかいま、スッゴいムカついた
「…落ちましたよ。過去の結果でできるのは予想までです
勝負はやってみなければわからないと思います、緑間くん」
黒子くんは緑間くんの持ってたクマのぬいぐるみを拾って、緑間くんに渡した
「…黒子やはり…オマエは気にくわん
何を考えてるか分からん目が特にな…言いたいことは山ほどあるが、ここで言っても虚しいだけだ
まずは決勝まで来い」
「…そちらが負けなければ戦えますねー」
ボソッと呟いたら、緑間くんにめっちゃ睨まれた
耳良いな、緑間くん
「いやー！言うね！あれっしょ？キミ真ちゃんの同中っしょ？
気にすんなよ、アイツ、ツンデレだから！
ホントは超注目してんだぜ〜!?」
「いつも適当なこと言うな、高尾」
高尾、と呼ばれた人はケラケラと笑った表情のまま私を見てきた
「…なんですか？」
ちょっと怪訝な表情で尋ねれば、
「キミ、誠凛のマネージャー？」
目線を合わせながら聞いてきた
「そう、ですけど」
「名前なんて言うの？」
「…清水さゆ」
「さゆちゃんねッ俺、高尾」
「はぁ…」
えっ馴れ馴れしい…っ
若干引いていると、
「同じ１年同士仲良くしよーぜッ」
肩に腕を回しながら言ってきた
「さゆちゃん？」
私の様子がおかしいことに気づいたのか、高尾くんは腕をパッと離した
「…れが」
「え？」
「誰がッ１年生だぁーッ!!私、２年だからッ!!」
高尾くんから離れてリコたちの元に行く
「高尾くん嫌い…もう会いたくないッ」
「うん、それは無理よ」
リコは私の頭を撫でながら、諦めろ。とでも言うように言った
人を身長だけで判断するなッ!!