バムッ
「…なっ」
「え…!?」
火神くんのダンクが決まったあと、観客が騒然とした

やっぱ黒子くんってスゴいなぁ…

「くっ…とにかく一本!返すぞ!!」

キュッ
「なっ…」
4番が6番に回そうと投げたボールを黒子くんが弾いて上げる

「ウソだろ!?」
それを火神くんが迷いなくダンクで決めた

「マジかよ!?スティールしたボールをそのままダンク!?」
「っていきなりダンク2連発って…予選1回戦だぞ、オイ!!」

「さゆ、頬緩み過ぎ」
「ぁうッ」
リコに差された頬を抑えて緩んだ表情でへらっと笑う

「なんか、公式戦って面白いなぁ…
って改めて実感しちゃった」
「…まったくもう。だからってマネージャーがへらへらしてないでよねっ」
「はーい」
言葉とは裏腹に口元は緩みっぱなし。
練習試合とはまた違う緊張感がたまらなく心地いい

ブーッ
「第1Q終了ー!!」
試合終了のブザーと共にベンチに戻ってくるみんなに飲み物を手渡していく

「さゆ、頬緩み過ぎ」
「…リコにも言われちゃった」
コッソリ話しかけてきた伊月くんに苦笑いして言えば頭の上に手を置きながら

「集中して見てろよ」
と言われた
…そんなに緩んでるかな

「マジすげっス!」
「てか圧勝!?」
「何言ってんの!むしろここからが大変なのよッ」
リコは盛り上がってる一年生にそう言うと

「黒子くん!交代よ」
と黒子くんに言った

「ここからしばらくは黒子くんを温存しなきゃいけないの
攻撃力が落ちる中盤の間、いかに点差を縮めさせないかだけど…
客観的に見てればお父さん以外の4人の中に脅威になるような選手はいなかった」
「この試合はとどのつまり…これから黒子くんが戻るまで間、火神くんがお父さん相手にどこまでふんばれるか!それに尽きるわ!
あの高さに対抗できる可能性があるのはキミだけなのよ!」
リコと2人で火神くんを見れば、

「まかせろ!っスよ!」

力強く言ってくれた
「うーん…」
「なによ?さゆ」
「…勘なんだけどさ、」
「?」
「お父さん、さらに高くなる気がする」
怪訝そうな表情をしたリコに呟いた瞬間、

「う…おっ」
バッ
「おおっナイシュー!!」
火神くんの驚いた声と同時に決まったシュート

「…さゆ、あなた」
「…勘だったのに」
緩んでいた頬が引きつる。
当てちゃった…

新協学園 12
誠凛 24

ビッ

「、」
短いッ!

日向くんのシュートが短く飛ばされた直後、いつの間にかお父さんよりゴール側に来ていた火神くんがシュートを決めた

「オッケ、ナイシュ!!」
「ナイスリバン!!」
…あれ?

「ドンマイ、気にすんな!ボール回すぞ!」
4番の声がかかってすぐにお父さんにボールが回り、それを火神くんが止めようと跳んだ

え、えぇー…ッ!?

「もう一度パパだ!」
さっきと同じ光景。
ただ違うのは…さらに火神くんが高く跳んでること

新協学園 33
誠凛 45

「火神すげぇ!!こらえるどころか全然負けてねーッ
カントク、マネージャー!特訓の成果出てるっスよ!」
一年生が嬉しそうに言ってきた
いや、えと…

「…え…と、てゆーか…ですぎ、かな?」
「私も、ここまでとは…」
「え?」
2人揃って戸惑いを口にする

スゴいのはわかってたんだけど…
なんか、黄瀬くんとやってからパワーアップした?

ワッ
「新協学園3P来たぁ!!」
コートが湧いた声に反応して慌てて点数ボードを見る

新協学園 51
誠凛 60

9点差!?


「黒子くん!ラスト5分行ける!?」
「…むしろけっこう前から行けましたけど」
「ゴメン!じゃ、ゴー!!」

ブーッ
「交代です!!」
リコと黒子くんの会話のあとすぐに黒子くんがコートに入った

バシュッ

「よしッ!!」
黒子くんのパスに再び新協学園が慌て出す

キュッ
「ヤダ!負けルのゼッタイヤダッ!」
ボールを持ったお父さんが火神くんの前でジャンピングシュートの構えをする

「キセキの世代にガッカリとか言ってたけどチョーシこきすぎだね!アイツらの方が……

断然強ーわ!!」

最後の言葉と一緒にお父さんの持っていたボールが火神くんによって弾かれた

「試合終了ー!!誠凛高校の勝ち!!」
「ありがとうございました!!」

新協学園 67
誠凛 79試合は12点数で誠凛が勝った

てか、
「キセキの世代と海常のこと、バカにしたんだ」
試合終了直後、伊月くんに聞いた内容に苛立ちが募る

「とりあえず文句言ってきます」
「落ち着けって」
伊月くんに掴まれた腕をブンブンと上下に振る
…離れない

「離して、伊月くんッ
大事な幼なじみの…幸ちゃんの仲間をバカにされて黙ってられないよッ!!」
「さゆ、落ち着きなさいよ」
「清水落ち着けって」
リコと日向くんも一緒になって止てきた

「離してってば…ッ!?」

目の前にいたはずの伊月くんの顔がいつの間にかあたしの顔の隣にきていた

それに気づいたと同時に、腰に回された腕の力が強くなった

「い、伊月く…ッ」
「落ち着いた?」
制止の声なんて聞かないで、質問してきた伊月くんに思いっきり首を縦に振る

「よし、じゃあ帰ろ、カントク」
私の返事を見てすぐ伊月くんはパッと離れると、普通にリコに話しかけた

「ぇ、ちょっと待って…さゆと伊月くんって、」

リコが軽くパニックになりながら私と伊月くんを交互に見て口を開いた

他のみんなも同様の反応で

なのに伊月くんは

「付き合ってるよ」

平然と言い放った
…伊月くんって意外と強引なんだ

固まるみんなに心の中で手を合わせて謝ったのは言うまでもない



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