「黄瀬についてんのって…えーと…」
「なんかすげえパスしてたような…?」
「え、ウソ!?見てね〜」
「てゆーか…
相手に……なるわけねぇーっ!!」
…失礼極まりないな、うん

「どーゆーつもりか知んないスけど…
黒子っちにオレを止めるのはムリっスよ!!」

黄瀬くんがドリブルを始めてすぐ火神くんがDFに回る

「違うね、止めるんじゃなくて」
「獲るのよ!!」
火神くんとリコの言葉に

へー…そうなんだ

と思ったのは黙っておこう
…おそらく殴られる

「なっ!?」
バックチップ、だっけ?

火神くんのヘルプでひるんだ一瞬を黒子くんが後ろから弾く
…よく思いつくよね

「オマエがどんなすげえ技返してこようが関係ねぇ
抜かせるのが目的なんだからな」

「おおおっナイッシュー!!」
「誠凛また追いついてきた!?」
まぁ…
あのカゲの薄さで後ろからこられたらいくら黄瀬くんでも反応できないよね

「そんなの抜かなきゃいいだけじゃないスか
誰も言ってないスよ」
黄瀬くんはそう言うと

「外がないなんて」

3Pの構えをして跳んだ
そのとき、

バコッ

火神くんがボールを弾いた

平面は黒子くんが、高さは火神くんがカバー…
スゴいなぁ、2人とも…

「行くぞ!速攻!!」
「っちっ…」
「っ危ない!!」
黄瀬くんが火神くんを止めようと動いた先に見えた人物に思わず声をあげる

ガッ

「あっ!?」
でも少し間に合わなくて…

「黒子くんッ!!」
黄瀬くんの拳が黒子くんの頭にぶつかった

ピピピッ
「レフェリータイム!!」
笛の音が聞こえてすぐに救急箱を取り出して黒子くんの休むスペースを空ける

「ごめん、黒子くん…私がもう少し早く声を出してたら…ッ」
手当てをしながらそう呟いていると、ふいに頭上に感じたぬくもりに言葉を詰まらせる

「い、づきく…」「清水は悪くないって」
「でも…」
「誰も責めてなんかないし、黒子もそう言うと思う」
伊月くんはそう言って黒子くんを一回見て、もう一度私の頭を撫でて立ち上がった

「伊月くんの言う通り!いつまでもめそめそしてないでよね」
リコは私の頭を軽く叩いてからみんなを見て指示を出していく

「OFは2年生主体でいこう!
まだ第2Qだけど離されるわけにはいかないわ
早いけど『勝負所』よ、日向くん!」
『勝負所』?
聴いたことある気がするけど…なんだっけ?

「黄瀬くんに返されるから火神くんOF禁止!DFに専念して、全神経注いで黄瀬くんの得点を少しでも抑えて!」
「そんな…それで大丈夫なんで…すか?」
「大丈夫だって、ちっとは信じろ!」
「でも…」
日向くんは言い淀む火神くんに向かって

「大丈夫だっつってんだろダアホ!
たまにはちゃんと先輩の言うこと聞けや、殺すぞ!」

と、ものっそい良い笑顔で言った
…思い出したよ
リコから聞いてた『勝負所』口調は、まぁ、あれだけど…
クラッチタイムで本音出てる間はシュートそうそう落とさないらしいし、安心はできるよね

キュッ
小金井くんがスクリーンをした直後、伊月くんが日向くんにボールを回し、綺麗にシュートが決まった

「あいにく、ウチは1人残らず…諦め悪いのよ」

優しいときは並の人
でもスイッチ入るとすごいけど怖い、二重人格クラッチシューターの、日向順平くん

沈着冷静で慌てない
クールな司令塔かと思ったら、まさかのダジャレ好きな、伊月俊くん

仕事キッチリの縁の下の力持ち
でも誰も声を聞いたことがない、水戸部凛之助くん

リコいわく、なんでもできるけどなんにもできないMr.器用貧乏な、小金井慎二くん

…スゴいメンツ

「第3Q、残り3分ー!!」

誠凛68 海常74
ヤバいな…
日向くんの集中力も切れてきたし…

「カントク…何か手はないんですか?」
「前半のハイペースで策とか仕掛けるような体力残ってないのよ」
「黒子くんがいてくれたら違ったんだろーけどさ…」
さすがに動かすわけにはいかない
そう紡ごうと口を開いた瞬間、

「…わかりました。おはようございます。
…じゃ、行ってきます」

どこから聞いていたのかはわからないけど
黒子くんはおもむろに起き上がってそう口にした



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