「弱点…!?」
みんなが声を重ねた瞬間、ようやく意識が話し合いに向けられた

…何の話?
とは言えず(リコが怖いし)とりあえず大人しく話を聞く

「なんだよ、そんなのあんなら早く…」
「いや…正直弱点と言えるほどじゃないんですけど」
黒子くんは日向くんの言葉を遮ると

「それよりもすいません、もう一つ問題が…」
と続ける

問題?

「予想外のハイペースでもう効力を失い始めてるんです」
効力…

「あッ!!」
頭に浮かんだのはPCで見た文字の羅列

「どうしたの?さゆ」
「私、わかるっ」
リコにそう言って、見た言葉を自分なりにわかりやすくみんなに説明をする

「黒子くんのミスディレクションは40分フルには使えないの」
「ミスディ…?」
「ミスディレクション
つまり、他に気をそらしてるだけ。一瞬だけなら私にもできるよ」

近くにあったボールを持って、

「私を見ててね」

みんなに言ってボールを上に投げる
と、みんなの目線は上に上がったボールにいく

「ほら、もう見てない
黒子くんはこれをやってるんだよ」
ボールを自分の膝に乗せ、

「でも、使いすぎたら慣れられて効果はどんどん薄まってく」

そう言えば、

「そーゆー大事なことは最初に言わんかーッ!!」
「リ、リコなら知ってるかと…ッ」
「一応話しなさいよッ」
んなめちゃくちゃな…ッ
と思いながら私の首を締めつける腕をバシバシと叩く

「カントク、清水死にそう」
伊月くんの言葉でリコが私から離れる
その直後、

ピーッ
「TO終了です!」
審判の声が響き、TOが終わった

「このままマーク続けさせてくれ…ださい
もうちょいでなんか掴めそうなんス」
「えっちょ、火神くん!」
微妙な敬語めっちゃ気になるんだけど

「とにかく、DFマンツーからゾーンに変更!
中固めて黄瀬くん来たらヘルプ早めに!黄瀬阻止最優先!!」
「おう!」
リコの声に応えてみんながコートに入って行く

「あっ黒子くん
思いきり点差引き離されない程度にペースダウンってできる?」
「やってみます」
「うん、よろしくっ」
黒子くんを見送ってからリコの隣に座る

「まだ第1Qの途中なのに2コ目のTOなんて使えないよね」
「さゆが話してくれたら問題なかったのよ」
「…すいませーん」

キュッ
「お、中固めてきた…!」
観客が呟いた。
ほぼボックスワンなんけどね
黄瀬くんを止めるのが目的だし

でも、

ヒュッ

幸ちゃんがボールを放ち、パッと綺麗に決まった

「おおっ一蹴の3P!!」
「いいぞいいぞ笠松!!
いいぞいいぞ笠松!!」
やっぱ幸ちゃんが決めてきますよねー…

「海常レギュラーナメてんのか?ヌリぃにも程があるぜ」
幸ちゃんの言葉にリコが言葉を詰まらせる

ホント、今の幸ちゃんヤな感じ…

「ディーフェンス!ディーフェンス!」
海常の声の直後に火神くんが走り出し、すぐさま黄瀬くんがディフェンスにきた
てゆか、

「もう慣れてきてる…ッ」
少しずつ広がる点差に危機感を感じ始める

バシッ

火神くんのダンクを黄瀬くんが止め、白ボールになり黄瀬くんが火神くんに声をかけているのが見える

「なんの話してるのかしら?」
「さぁ…」
すると、

「ハハハハハ…ッ!!」

突然火神くんが笑い出した
「ワリーワリー。ちょっと嬉しくてさァ…
そーゆーこと言ってくれる奴久しぶりだったから」
…何の話なんか全くわかんないんだけど

「やっぱ人生挑戦してナンボじゃん
強ぇ奴がいねーと生きがいになんねーだろが
勝てねェぐらいがちょうどいい
まだまだ!これからだろ!
聞いてねぇゴタク並べんのは早ーんじゃねーの?」
火神くんは嬉しそうなに言うと、

「おかげでわかったぜ、オマエの弱点」
黄瀬くんの弱点?
…あっ

「自分から言い出しづらかったのもちょっとわかるわ」
「火神くん、後ろだよ」
周りを見渡す火神くんに言えば、火神くんは黒子くんの襟をつかんだ

「見えればできるんだよね?じゃあ、見えなかったら?
そもそも元からウスいのが前提なんて、やれって方がムリな話だもん」

黄瀬くんに向かってそう言えば、

「いくら身体能力が優れてるオマエでもカゲを極限までウスめるバスケスタイルだけはできない
…つまり

黒子だろ!オマエの弱点!」

火神くんが黒子くんの頭を掴んで言った



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