これは、彼がクラスメイトを殺してしまうまでのお話。

あ、かっこいい。
初めて彼を見たときにそう思ったのは私だけではなかったはずだ。
…今となってはそんなことを聞いてみる手段はないけれども。

西 丈一郎
顔が良くて勉強もできる彼はクラスで、どころか、学校中で浮いていた。

かっこよくて勉強もできるなんて完璧だよね!
なんて言っていた友達もいつの間にか始まっていた西くんに対する嫌がらせに参加していた。

上手く誤魔化してたらいいのに。

いじめをしていたり悪口を言っているクラスメイトを見ながらそんな風にぼんやりと感じていた私は周りから浮かないようにと上辺だけの付き合いを続けて約2年。
…頭が良い西くんならもっと上手く立ち回れそうなのにな。

「素直、なんだろうなー…。」

ぽつりと呟いた言葉は、授業始めるぞーと言いながら入ってきた先生の声に掻き消された

あれ…。

一瞬、西くんと目が合った気がした。



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