「試合終了ー!82対91で秀徳の勝ち!」
「あっしたァ!!」
3試合して3敗かあー…。
「はいっしっかり冷やすのよ!」
リコはガシャ、とアイシングを木吉さんの前に置く
「けど結局…試合は全敗か〜」
「オレらまさか下手になってる?」
「…そんなことねーさ。成長してるぜ、確実に…自信持てよ!オレ達は強いぜ…!」
アイシングに下半身をつけた格好で力説する木吉さんになんとも言えない気持ちになる
…相変わらず決まらないな、木吉さん。
「ごめん、さゆ先に戻ってて!」
「どうしたの?」
「ちょっと、ね」
楽しそうに笑うリコをみて首を傾げながら分かった、と答えた
…飲み物でも買ってこようかな。
「あれ、俊くん」
自動販売機を探して歩いていると目の前から俊くんが歩いてきた
「さゆ…。あれ、カントクと一緒にいたんじゃなかったのか?」
「なんか用事があるみたいで今さっき分かれたとこで…。自動販売機探してるんだけど全然見つからなくて」
ここら辺になかったっけ?周りを見渡しながら尋ねるとぽかんとした表情をした俊くん目が合った。…え。
「…ぷはっ」
「え、え?」
堪えきれないかのように笑い出した彼に戸惑いが隠せない。なんで大笑い!?
「反対だよ」
「反対?」
「まるっきりの反対方向。あっち」
指さされた方向を見ると見事に私の真後ろ。
「さゆ、方向音痴だったんだな」
「…うっ」
「一緒に行くか。俺も飲み物欲しいし。それに、」
差し出された手を握ると俊くんは少し照れたように笑い、
「2人きりなの、久しぶりだしな」
と言い、軽く唇を重ねてきた
…心臓が爆発しそう。