「つーかまさか秀徳と合宿地カブるとはな」
「借りてる体育館も一緒だって」
「マジで!?」
朝食を食べながら出てきた"秀徳"という言葉に思わず箸が止まる

昨日は見かけなかったし、今朝着いたのかな…。

「ごちそうさま。今日も9時から浜辺ね!さゆは飲み物とタオルの準備を忘れないようによろしくね」
「え、リコは?」
「んー、ちょっとね」
リコはそう呟くと食堂を出て行った

「…!またろくでもねーこと思いついたな」
「ん?」
「スキップして出てった」
…まじか。

日向くんの言葉に俊くんと木吉くんの愕然とした声が食堂に響いた

「さて、と。」
「うん?」
砂場練習をしているメンバーを横目にリコが笑顔を浮かべた。
…わ、嫌な予感しか浮かばない笑顔!

「今日から体育館練習は予定変更で、秀徳高校と合同練習よ!」

予想の斜め上をいった内容にみんな固まる

「えええ!?マジで!?」
「よく許可してくれたな、向こう…」
「そりゃあ…。向こうからすればありがたいでしょうね」
「ありがたい?」
「お互いの手の内をさらすことになるけど、向こうのメリットの方が大きいもの。
秀徳は昔から研究されているけどウチは情報が少ないから」
「…賭けだな、正直」
ウチには確実なメリットはない、のか。
でもリコが決めてきた練習だし、なにか思惑があるはず、だけど…。

「火神くんはちょい待ち!」
みんなの輪に加わろうとした火神くんを呼び止めたリコの声に顔を上げる

「ちょっとみんなの分の飲みもの買ってきて!」

え、

「ちょ、リコ!飲みものなら…っ」
朝いっぱい作ったのに

そう言いかけた口をリコに塞がれる

「砂浜走って500m先のコンビニまで!」
往復たった1kmだから!って、たった…?

「なんで!?しかも砂浜!?」
「でも重いだろうから1本ずつでいいわよ?」
「それ何往復!?いやがらせ!?」
「みんな練習してるんだから早くね!」
「じゃあパシリさせんなよ!!、でください!」

しばらく言い合いをしている2人を見ていると、少し離れた場所から俊くんが手招きをしている姿が見えた
…呼ばれてる?

するりとリコの手からすり抜けて俊くんの元へ行く

「どうしたの?」
「練習試合、始まるぞ」
記録取るんだろ?そう言ってボードを手渡してくれた

「あ、ありがとう」
「…あのままだとカントク、さゆにくっついたままだっただろ」
「…ん?」
一瞬だけ置かれた手の感触に思考が一旦停止する

あれ、いま俊くんヤキモチ妬いた?え、リコに?んんん?

「で、今日の練習試合見てどう思った?」
お湯に浸かった途端、リコがにやにやしながら聞いてきた

「うーん…。黒子くんがボールを持ったのが気になったかも。一瞬だけだったけど。あとは火神くんが走りに行かされてたこと」
「へーえ…。」
「え、なに」
「さゆもなかなかマネージャーが板についてきたなー、と思って。
あー1月もしたら立派なマネージャーになっているんでしょうねー」
「なにそれ」

リコは怪しく笑ったあと、「お先ー」と言って上がっていった

「…嫌なプレッシャーをかけられた気がしたのは気のせいだと思いたい。」



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