「え、木吉さんと火神くんが1対1?」
「…いいすけど、ブランク相当あるんすよね?
手加減とかできねぇすよ」
「モチロンだ、本気で頼むぜ」
ピリ、としか空気に思わず息を飲んだ

キュッ

「おおっ」
火神くんと木吉さんの動きに思わず感嘆の声が漏れた

シュートをしようとした木吉さんをすかさず火神くんがブロックをする

相変わらずでたらめなジャンプ力だなー…
押してるのは火神くんなんだけど、なんだろ、木吉さんの動きがなんか、ヘン?

「フゥ…想像以上にしんどいな」
呟いて息を吐いた木吉さんの隣を火神くんがドリブルで抜き、ダンクをしようとジャンプするとそれを木吉さんがブロックにはいる、が、

「空中で…っ!?」
火神くんは空中で身体を回転させ、木吉さんの後ろからダンクを決めた

「すげぇっ!あそこで裏からダンク!?」
「火神の…勝ちだ!」
周りからも声が響く

「ふぃー…参った!オレの負けだ。約束通りスタメンはキミだ」
「…ウス。じゃあ、オレ先上がります、おつかれす」
火神くんが去った体育館に一瞬の静寂が訪れ、

「なっ何考えてんだよ、木吉!」
「いやー、強いなアイツ」
「じゃなくて!アンタ外れてどーすんのよ!?」
俊くんとリコのつっこみに木吉さんが暢気に答える

ホントだよ!木吉さんがスタメンから外れてどーすんの!?

「しょうがねぇだろ、ブランクなんて言い訳になんねーし、これが実力だ」
「実力だ、じゃねーよ、ボケすぎだ足元見ろ!」

足元?

日向くんの言葉にみんなの視線が木吉さんの足元に向く

「練習中からなんか変だと思ってたんだよ
お前ソレ上履きじゃねーか、ダァホ!」
「えええ!?そんな動きづらいので!?」
違和感の正体はこれかぁあぁっ!

「ったく…まさかわざと負けたんじゃねーだろーな」
「…いっけね!」
「素かい!」
日向くんのつっこみが再び体育館に響いた
…あとでのど飴でもあげてこようかな

「なんかなー、相変わらずボケボケだったな、アイツは」
「木吉さん?」
「そう、木吉」
俊くんを見ると、呆れたような嬉しそうな笑顔をしていた

「嬉しいんだね、俊くん」
「ん?」
「木吉さんが戻ってきて」
「…わかる?」
首を縦に振ると俊くんは照れくさそうに頬を掻いた

「…新生、だね」
「新生?」
左手で繋いでいる俊くんの右手をギュッと握って、空いている右手を空に向かって突き出す

「新生誠凛バスケ部!待ってろ、WCー!」

にへ、と笑って俊くんを見ればどこかふっきれたような表情を見せてくれた



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