「3倍、逝っとく?」
…はい?

満面の笑みを浮かべて親指を立てたリコを見る

「3…3倍!?ちょっマジで!?いやあの…試合終わったばっかなのに…」
「え…4?」
「やります!!」
反論した小金井くんに再び非情な言葉がかかる

お、鬼…っ!いくら泉真館戦のときに速攻のミスが2つあったからって、スリーメン3倍は鬼だよ、リコ!

「…みんな大丈夫そう、なわけない、よね」
「あれだけ頑張って、それでも、インターハイには行けなかったんだもの」
5対5のミニゲームを見ながらリコと呟く

みんな全然、入ってない…

「…よしっ」
隣で聞こえてきた気合いに嫌な予感を感じていると、

「集合ーっ!」
リコの声が体育館に響いた

「みんな…入部の時やったこと覚えてる?」
「あれっ…!?」
「やるの!?」
いつぞや屋上で目標を叫んだことを思い出す
…全裸で告白なんかされたら結構な高確率で断られるよね

「次はもう負けられないわよ、わかってる?冬は寒いわよ〜ハダカ」
「…冬?」
あれ、インターハイの予選終わったよね?負けたよね?

「ウィンターカップ!全てをぶつけるのはそこよ!」
「ウィンターカップ…」
「そうか…そこで勝てば…」
「最後のチャンスだぞ」
「今までも必死だったけどな。これで冬も駄目だったら全裸やるぞ、マジで、あの女は
つーわけで、まだ今年は終わってねぇ
むしろこれからが本番だ」
「けどIHと同等レベル…だろ?」
「やっぱ正直…キツい…よな、」
日向くんの言葉に1年生がざわめく

確かに、今のままじゃ不安だよね…

「それなんだけど、日向くん。もうすぐ帰ってくるわ、鉄平が」
「え…マジ?」
…鉄平?

「心強い…けど、こりゃあちょっと色々あるかもな」
「え?」
俊くんの方を見ると、ちょっと困ったような表情を向けられた

「俊くん、鉄平さんって、どんな人なの?」
「あぁそうか、1年とさゆはまだ会ってないか
ウチは7番いないだろ、そいつの番号なんだ、ウチのエース」
「え…っ」
誠凛のエース?

「…あ、ヤバイっもう体育館閉める時間だわっ
その話はまた今度ね!」
「おーし、じゃあ上がんぞっ!」
「ウィス!」

ー1週間後
「そういえば、火神くん大丈夫かな?」
「あー…黒子に聞いたら1週間1回も話してないって言われたんだよな」
「1回も!?」
隣を歩く俊くんを見上げると苦笑いが返ってきた

あ、またこの表情
最近、俊くんの笑顔見てないなー…

「ねぇねぇ、俊くん」
「んー?」
立ち止まってちょいちょい、と手招きをすると、同じように立ち止まって耳を私の口元に寄せてくれた

「だいすきだよ、俊くん」
「…っ!?」
「ふふふー、顔真っ赤!」
俊くんは顔を赤くすると、耳を押さえた

「…なに、いきなり。さゆが言うなんて珍しい」
「んー?」
ひょい、と俊くんの頬に唇を寄せてぷに、とキスをする

「最近、恋人らしいことできなかったから甘えたくなっちゃった」
ちょっと拗ねたように呟くと、最近見れてなかった笑顔の俊くんが目の前にいた

胸がきゅん、ってするの、久しぶりで心地良い



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