「…俊、」

もう一度、確認するように口を開く

見た目はなんにも変わってない
だいすきで仕方なかった綺麗な黒髪
頭を撫でてくれてた大きな手
優しく見つめてくれた、切れ長な眼
…変わってない
あの頃の、だいすきだった俊が目の前にいる

「…あの、大丈夫ですか?」
「あ、はい!」
俊の言葉に我に返り、慌てて返事をする

だいすきだった優しい声に再び胸が締めつけられる

「あの、」
「?」
「もしかして、どっかで会ったことあります?」
「え?」
「俺の名前、知ってたから」
…その言葉を聞いた瞬間、思わず口から零れた言葉に自分の耳を疑った

「……やだなぁ、俊。
自分の彼女のことまで忘れちゃうなんてさー」

なんでそんなことを言っちゃったのか、自分でもわからなかった



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