<第4Q始めます>
桐皇 82
誠凛 51
31点差の中、第4Qが始まった
「…あっ!」
開始早々、黒子くんのパスは青峰くんにカットされてしまった
ロール中にシュートなんて、ますます無茶苦茶でしょ、青峰くん…っ
「…あれ?」
火神くんの足、なんか…
コートを歩く火神くんに違和感を覚えた瞬間、
<誠凛、メンバーチェンジです>
ブザーが鳴り響き、土田くんが火神くんの名前を呼んだ
「な、なんでまた…!?テーピングも問題ねーよ、ですっ」
「いいから戻れよ」
「大丈夫っすよ!それにまだ試合は…こんな所で…っ」
「いいから戻りなさい!!」
土田くんの言葉にもブレない火神くんにリコから命令が下った
あ、火神くんの足…
完治しかけてた方の足を無意識にかばってプレイしてたんだ…逆の足に極端な負荷がかかって…
この試合どころか、決勝リーグ残り2日も…
「…終わったな…」
「さっきからもう一方的だ、見てらんねーわ」
「…っ」
観客の声にギリッと拳を握る
残り5分で40点差…
確かに、勝てないかもしれない…でも…っ
「…諦めたく、ないよ」
ポツリ、と呟いた瞬間、
「声だせ!最後まで!」
「小金井くん…っ」
「中の選手が諦めてねーんだぞ、黙って見ててどーすんだ」
小金井くんが1年生の後ろから声をかけた
ほんと、そうだ
私も黙って見ててどうするんだ
私がみんなの代わりに試合に出れるわけじゃない、なら、
「ディーフェンス!」
「ディーフェンス!」
中の選手の背中を押せるくらい、声を出すんだ
−誰1人諦めず、全員が最後まで戦った
それでも点差は開き続けた
…涙は出なかった
その日、私達はそれほど圧倒的に、負けた