「よう、清水」
「久しぶりー、日向」
お店に入ると日向が手を上げて挨拶してきた

「えーっ変わんないね、日向ってば。相変わらずバスケ馬鹿なんだね」
「うるせーよっ」
会わなかった2年間のお互い近況を話していると、ふと、日向が真面目なカオをした

「…なぁ、清水」
「なに?」
「あのさ、」
どこか気まずそうに目を泳がせる日向に心臓が嫌な音を立てて鳴り出した

「ちょっと、なに?いきなり真剣な表情するなんて…」
「伊月」
「え?」
「覚えてるよな?」

忘れるわけないじゃん

なんて、別れた私が言えるわけなくて曖昧な表情を浮かべて頷いた

「あいつ、事故にあったんだ、試合に行く最中に」
「え…っ!?」
「いや、怪我は大したことないっ」
「よ、良かった…」
慌てて弁解した日向に思わずため息をついた

うあっ俊のこと覚えてるって丸分かりじゃん…っ

「…で、だな。怪我は大したことないんだが…」
「だが…?」
「………記憶喪失、だと」「え?」
「あいつ、記憶が失くなったんだ
…高校に通ってたときの記憶がまるごと」

−足元が、崩れ落ちたような感覚がした



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -