「えっ影山くんと日向くん、夜に外で練習してるんですか!?」
タオルを乾していた手を止めてスガさんをみると、スガさんは「らしいよ」と苦笑いをしながら言った
「はー…朝早くから来て体育館で練習して、昼休みはスガさんと練習、夜には外で練習…スゴいですね、影山くんと日向くん」
「見事なバレー馬鹿だよな、あいつら」
そう言いながら洗濯物に手を伸ばしたスガさんを慌てて止めると、「いいから」と爽やかな笑顔を向けられた
…くそ、めっちゃいけめんだなぁ、スガさん
「そういえば、一昨日の昼休みにスガさん見たんですよ」
「あ、目合ったよな?声かけてくれたらよかったのに」
「後ろにいた女の子たちがスガさんに見とれてて、そんな恐ろしいことできなかったんですよー」
そう返すと、洗濯物を乾していたスガさんの手が止まった
「スガさん?」
「いや…見とれてくれたコたちがいたのに驚いて」
「…はい?」
え、スガさんってばなに言ってるの?
ふわふわした髪の毛
ちょっと色っぽい泣きぼくろ
低すぎず高すぎない身長
柔らかい笑顔
見とれるなという方がムリだ
元に、スガさんを好きな女の子は何人もいる
「スガさんって、意外と鈍かったんですね」
「え?」
「これだけモテてるのに自覚ないんですもん」
「…さゆにだけは言われたくないな、それは」
「?…私、全くモテてないですよ?」
自慢じゃないけど、彼氏いない歴=年齢を順調に更新中だ
…あ、ホントに自慢にならないや
「まぁ、いくらモテても好きなコが振り向いてくれなきゃ全く意味ないんだけどな。んじゃ、カゴ戻しとくな」
「あ、はい、ありがとうございます」
…ん?
「スガさん、好きなコいるの?」
サラッと言われた言葉
危うく聞き逃すところだった
「…あれ?」
なんか、胸がモヤッとする
「…なんか、イヤだな」
そう呟いた直後、
「さゆ、3対3始まるぞ」
「あ、はいっ」
大地さんに呼ばれ、急いで体育館に入る
大好きな潔子さんがいるのに、私の気持ちは浮かないままで
なぜかスガさんを見たくないと思ってしまった