あぁ、今月もきてしまった
あの、大嫌いな1週間が
「おはよう、さゆ」
ふいに後ろから声をかけられ、どきまぎしながら振り返るとにゃんこ先生を頭に乗せた貴志が立っていた
…だめ、今週の私には刺激が強すぎるっ
「おはよう、貴志。じゃあ、私先に学校行ってるからね、また学校で!!」
早口でまくし立ててその場を去り、急いで家を出た
どうしよう、絶対ヘンに思われた…ッ
「あれ、さゆちゃん?」
「た、多岐ちゃんっ」
「こんな早くに会うなんて珍しいねー」
にこにこ笑いながら近づいてくる多岐ちゃんを見て、決心をした
「多岐ちゃん!!」
「え、どうしたの?」
「相談に乗ってください!!」
「はー…大変なのね、彼氏がいるっていうのも」
「笑い事じゃないよぉ、多岐ちゃん…」
ため息をつきながら空を仰ぐ
屋上には昼休み以外誰もこないからいっぱい話せるよね
そんな多岐ちゃんの言葉どおり、屋上には私たち以外いなかった
「でもあれよね」
「うん?」
「さゆちゃんも夏目くんも、お互いを思いやってるかわいい悩みばっかりよね」
「…なにそれ?」
「夏目くんはさゆちゃんを思って秘密を黙ってて、さゆちゃんは夏目くんを思ってこうして私に相談してきて…いいよね、そういうの」
クスクスと笑う多岐ちゃんを見て、思わず顔が赤くなった
「あ、夏目くん」
びくっと肩を揺らした私を見ると、多岐ちゃんは笑いながら屋上を出て行った
え、ちょ、多岐ちゃーん!?
「さゆ、なんで俺のこと避けて…」
「ない!全然ない!」
真っ直ぐ見てくる貴志にさっきと同じ気持ちがわき上がってきて、思わず屋上から走って逃げてしまった
ごめんね、貴志…ッでも言えないの…!!