そのあとのことは、正直、よく覚えてない
…必死な表情をしながら助けに来てくれた貴志の後ろでにゃんこ先生が「まぁ、なかなかだな」と言いながら妖を食べていたのがなんだかヘンで、少し笑ってしまったのを怒られたのは結構ハッキリと覚えてる
次に気がついたときには、自分の部屋で寝ていた
「…貴志、寝てる」
ふと、隣を見ると、私の布団につっぷしながら寝ている貴志が目にはいった
「かわいー寝顔…」
そう呟いて頭を撫でると、貴志はちょっと身動ぎをし、再び布団につっぷして眠りついた
"助けてくれてありがとう"
そう言いたかったのに、口から零れたのは、
「…ごめん。ごめんね、貴志」
自分でも情けなくなるくらい、小さな声だった
今さら謝っても仕方ないことだってわかってる
それでも、言わずにはいられなかった
…涙が一粒、貴志の頬に落ちた