「いっ入れて下さいっバレーやらして下さいっ
おれ影山ともちゃんとな…仲良くっなかよくしますからああああっ」

日向くんの悲痛な声を聞きながら、大地さんを見る

「だ、大地さん…ッ」
「いいのかよ大地。ていうか、"チーム"とかって徐々になってくモンだろォ」
スガさんも同じ気持ちらしく、二人して大地さんを見た直後、大地さんが口を開いた

「わかってる!が!!」

「おい、ちょっとどけ!!」
「あたっ何すんだよっ今おれが話して、」
「キャプテン!!すみませんでした!!部活に参、」
「おれが先に話しっ」
「うるせぇっ」
あー…

扉の外から聞こえてきた会話に思わず苦笑いが零れた

「あんな状態で練習になるか。入部を拒否するわけじゃない、でも反省はしてもらう」
「すみませんでした!!日向ともちゃんと協力します!部活に参加させて下さい!!」
影山くんが扉を叩きながら言うと、

「本音は?」
大地さんが扉を開けて尋ねた

「…ッ…試合で…今のコイツと協力するくらいなら、レシーブもトスもスパイクも全部俺1人でやれれば今いいのに、って思います」
「何言ってんのオマエェ!?」

日向くんが影山くんの後ろで叫んでいるのが聞こえた

素直過ぎるでしょ、影山くんよ…

「はっはっはっ何で本当に言っちゃうんだよ、本音を!良いと思うよ、そういうの!」
「…ッ」
「でもさ、ボールを落としてはダメ、持ってもダメ、1人が続けて二度触るのもダメ
…っていうバレーボールで、どうやって1人で戦うの?」
そう言うと大地さんは、"はい、やり直し"とでも言うかのように笑顔で扉を閉めた
(と背中を見て感じた)


「お疲れした!!」
「したーっ!!」
体育館に号令が響いたあと、

「"勝負して勝ったら入れて下さい!!"ーとか言って来そうじゃないスか?アイツら」
龍が楽しそうに言うと、
「あり得る!頭冷やしてチョコっと反省の色でも見せれば良いだけなんだけどな」
スガさんが苦笑いをしながら答えた

「えー、いくらなんでも二人ともそんなに単純じゃないと思うんですけど…」
「ーでも、仮にそう来るとしたら、影山が自分の個人技で何とかしようとするんだろうな
もしも影山が自分個人の力だけで勝てるって思ってるとしたらー…あいつは中学から成長してないって事だな
中学でそうだった様に、ある程度まではそれで通用しても、更に上には行けない」

"北川第一惜しくも敗れる"
新聞で見た見出しが頭をよぎった

個人技だけじゃ、勝てなくなる試合だっていっぱいあるんだ

「キャプテン!!」
「え、なに!?」
突如、体育館に響いた声に驚い て慌てて入り口の扉を開くと、日向くんと影山くんが並んで立っていた

「うそ、二人ともずっとそこにいたの!?」
「ミスんなよっ」
「おめーだよ」

二人は小声で会話すると、

「勝負させて下さい!」
「おれ逹対先輩逹とで!!」
龍が言ったような言葉を目の前で言われた

さらに、"せーのっ"と言うと、

「ちゃんと協力して戦えるって証明します!!」

と声を揃えて言った

ほ、本当に言った…ッ

「ビバ単細胞!!」
「"せーのっ"って聞こえたんだけど」
「でも俺、こういう奴ら嫌いじゃないっスよ!」
呆れた表情のスガさんとは正反対に、龍は楽しそうに口を開いた

「…負けたら?」
「うっ」
「どんなペナルティでも受けます」
「…ふーん」
大地さんはハッキリと言い切った影山くんと、困惑の表情を浮かべた日向くんを見て、

「ー丁度良いや
お前らの他に数人、1年が入る予定なんだ
そいつらと3対3で試合やってもらおうか
毎年新入部員が入ってすぐ雰囲気見るためにやってるゲームだ」
「えっでも3対3、ですか?おれ逹側のもう1人は…」
「田中、お前当日日向逹の方入ってくれ」
「えェ!?俺スか!?」
「だって龍、こういう人たち嫌いじゃないって言ってたじゃないの」
「関わるのは面倒臭い!!」
「な、なんてことを…」
「問題児を牛耳れんのは田中くらいだと思ったんだけどな……」
「っしょぉぉがねぇなあああ!!やってやるよ!嬉しいか!?オイ!!」
うっれしそうだなぁ、龍…

「よし。ーで、お前らが負けた時だけど、
少なくとも俺逹3年が居る間、影山にセッターはやらせない。もちろん、顧問の了承も得た上にでな」
「…は?」
「それだけっ?ですかっ?」
「単なるペナルティじゃないぞ
個人技で勝負挑んで負ける自己チューな奴がセッターじゃ、チームが勝てないからな
…どうした?別に入部を認めないって言ってる訳じゃない
お前なら他のポジションだって余裕だろ?」
「俺は!!セッターです!!」
「ー勝てばいいだろ
自分1人の力で勝てると思ったから来たんだろ試合は土曜の午前、いいな」

スガさんは大地さんの言葉を聞いて、気まずそうな表情を浮かべて扉を閉めた


「…勝ってよ、日向くんに影山くん」

そして、私の抱き枕をもう一度…ッ



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