パヒュっていう軽い音が鳴り、越前くんの打ったボールはネットにかかった

「ガットがびろーんって伸びてんね」
「まぁ、まともに打ったってムダだろうな」
「そだね」
「うーん、あんなガットじゃまずスピンはかからないよね」
「スピンがかかんないってことはさ、こー……ね?」
「…さゆの言葉、抽象的過ぎてわかんないにゃ」
身体を動かして説明しても伝わらなかったらしく、英二が言葉を漏らした
…なんでわかんないかなぁ

「てめぇに勝機はねぇだろうが!!」
荒井が再びボールを打つと、越前くんは身体を捻って打ち返した

「おーからだ全体回転させてシピンかけたよ、やるじゃん」
「ほら、私の言った通りっ」
「だから、さゆのはわかんないってば」
「英二が理解力ないからじゃん」
「ひどっ」
嘘泣きをした英二を肘でつついてコートに背中を向ける

「観てかないの?」
「越前くんの勝ちは決まったじゃん
勝敗決まった試合に興味はないのー」
周助に手を振ってその場を離れる

明日辺りに校内ランキング戦が始まるんだろーけど…

「越前くんでも参戦して面白くしてくれないかなぁ」
…なんてね
手塚がいれてくれなきゃ参戦できないんだよね

「頼んだよ、手塚ー」
誰に言うでもなく呟き、日誌を竜崎先生に預けたままということを思い出し、職員室に向かった



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