ポーン
って軽くボールを上げる音に続いて、
ドッ
と、強く打ち返す音が聞こえてきた

スマッシュの練習でもしてるのかなぁ…

チラ、と洗濯機の時間を見ると、残り3分
ドリンクはもう持ってったし、やることないし…

行っちゃえっ


走ってコートに向かえば、打ったスマッシュをすべてカゴにかえしているレギュラー陣の姿が見えた

「みんなもう帰ってきたんだ…」
遠征、だったんだっけ?

「あっデカい」
珍しくボール出しをミスした大石を見て呟く

そのミスボールは越前くんに向かって降りていく

ドッ
「…入っちゃった」
「あんがい簡単だね」
さっきまで練習していたレギュラー陣のように、越前くんのスマッシュはカゴに収まった

…ヤバい…なんか、もう…ッ

「もームリッ」

部員みんなの視線が向けられてるのを感じながら、コートの中に入る

「さゆーッ」
「英二ー!」
抱きついてきた友達の英二にしがみつきながら他のレギュラー陣を見ると、「いつものことだな」という視線が返ってきた

いや〜私の友達はみんなわかってるよね


「てゆかさ、こんな練習見せられてジッとしてられるわけないじゃんっ音聞いてただけでムズムズしちゃって…ッ!?」
突然、襟を後ろに引かれ、英二から身体が離された

「コート内で何をもめている」
頭上からした声に、頭がサァッと冷静になる

「ぶ、部長ーっ!!」
ヤッバい…あっ手ぇ震えてきた

「騒ぎを起こした罰だ。そこの2人、グラウンド10周!」
10周!?

「えっちょっと待って下さいよ、コイツが…」
あっ荒井と越前くんに言ってたんだ

「20周だ!!」
「は、はい!!」
いや〜良かった良かっ…

「全員ウォーミングアップ!!済んだ者から2年3年はコートに入れ!!1年は球ひろいの準備につけ!−以上!!」
「ハイ!!」

「さゆッ!!」
「はっはいぃっ」
襟を掴む力が緩んだ瞬間に逃げようとしたのに、再び手塚に捕まった

「て、手塚さぁん…?」
「仕事はどうした」
「あと3分あって…あ、」
「…なんだ」
「すぐ行ってきます…ッ」
とっくに時間過ぎてたぁッ!!

後ろからものすごい睨まれてるのを感じながらコートを離れる

くっそぉ…英二のやつ、すぐ逃げた…ッ



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