「はぁ…」
目の前で騒いでる団体を見てため息1つ


「あっはっは!!お前ら自分のグリップの握りも知らねぇのかよッ
トップスピンを打ちてーんならウエスタングリップだろ!!
こうやってラケット面を立てて握手する感じで握んだよ」

いや、それ違うし

「おおーっさすが佐々部!!」
「バーカ常識だろ!!」
佐々部、と呼ばれた人がラケットを思いっきり振り回す

危ないなぁ、もう…

顔のすぐ近くを行き来するラケットを止める

もー我慢なんないっ


「「ねぇ、うるさいんだけど」」
誰かと声が重なったことに驚いて掴んでいたラケットを思わず落とした
…小学生?

真正面に座っていた少年が私たちの方を見ていた

「だっはっはっ!!まいったぜ、ガキ共に注意されちゃっ…」
「ピーンポーン…置いたラケットを上から掴む様に持つのが正しいウエスタンのグリップ」
「ちなみに、アンタが言ってた『握手する様に』はイースタングリップ。よくいるんだよね、逆に覚えてる人」
ラケットを拾った佐々部に向かって少年と交互に言えば、顔を真っ赤にして電車を降りていった

ざまーみろ

べっと舌を出して電車を降りる

「あっ」
あの男の子の名前聞いとけば良かったかも

将来有望そうだし早めにチェックを、なんてね

携帯を取り出して男友達にメールを打つ

TO:桃城武
タイトル:発見
本文

近いうちに桃と張り合いそうな
少年を発見
戦ったとき負けないよーに
ちゃんと練習しときなよー
詳しい話は明日すんね



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -