「…そっか、だから」

夏目レイコさん
友人帳
それに、貴志を訪ねてくる数多の妖たち

今まで聞いてきた単語がすべて繋がって、妙に頭がすっきりした

小さく息を吐いて貴志を見ると、椅子から身を乗り出してちょっと困ったように私を見ていた

そんな貴志に近づくと、ぎゅっとおもいっきり抱きついた

「さゆ!?」
「ずっと1人で妖から友人帳を守ってきたんだね、貴志は」
エラいね、なんて言いながら頭をポンポン、と軽く叩けば、「子どもじゃないんだぞ」なんて声が聞こえてきた

「ごめんごめん
でも、もう1人じゃないよ」
身体を離して、座っている貴志と目線を合わせる

「私がいるもん。1人で悩んだりなんかしないでよ
隠し事もなしだから…ッ!?」

いきなり貴志が腰に抱きついてきた
…お、お腹のお肉が貴志なほっぺたに当たるっ

貴志は、慌ててお腹をヘコませた私を見ると、

「ありがとう、さゆ
好きになったのがさゆで良かった」
なんて笑顔で言ってくるもんだから
私の顔が真っ赤になったのは言うまでもない

…幸せ過ぎて私も貴志も忘れてたんだ

私が、ずっとこの町に住んでいられるわけじゃないってことを



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