「まだ眠そうだね」
「いや、ちょっと寝不足で…」

理由を話すつもりはさらさらないのか、少し困ったように眉を寄せて口を開いた

ずきん、と胸が痛んだのを無視して笑顔をつくる


「私にできることがあれば何でも言ってね?」
「ありがとな、さゆ」

繋いでいた手がさらに強く握られ、私も握りかえす


「夏目、清水さん」
「あーっくそ、なんで夏目に彼女ができて俺にできないんだよッ!!」

後ろから名前を呼ばれて振り返ると、北本くんと西村くんが立っていた


「清水さん、夏目なんかのどこがいいの!?」
「え?」
「西村、近い」

一気に距離を縮めてきた西村くんから私を離すように手をぐいっと引いてきた


「た、貴志…ッ」

人前でこんなに近づいたことなんてなくて、顔が熱くなるのを感じた


「それに西村、お前多岐が好きなんだろ?」
「…別に」
「察してやれ、夏目」
「は?」

北本くんは西村くんの肩を叩くと、

「最近こいつ、多岐さんに相手にされてないんだよ」

と言った


「えっ西村くんって多岐ちゃんのことこと好きなの!?」
「結構前から片思い中」
「笑うな、夏目ッ清水さんも!!」

顔を赤くした西村くんを見てみんなが一斉に笑い出した


多岐ちゃん可愛いもんね

西村くんに頑張ってもらいたいなぁ…




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