「さぁ、次はどこに行きたい?」
「………」
「夏目くん?」
名取さんの言葉に反応を示さない夏目くんを見ると、拳を握りしめて小さく震えていた

「…なんで、名取さんと3人で行動しなきゃならないんですか!?」
「キミもさゆちゃんも反対しなかっただろう?」
「反対する暇もないまま連れ出したんでしょう!?」
「おや、そうだったかな?」
じ、自由過ぎる…ッ

立ってるだけでも目立つイケメン2人のケンカに唖然としてしまう

心無しか、ギャラリーが増えてる気がする…

「とにかくっ名取さんはすぐ帰ってください!!」
「せっかく楽しくなってきたところじゃないか」
…めげないな、名取さん


「さゆちゃんは?」
「え?」
「夏目と2人でいたい?」
一瞬、質問の意味が理解できなくて固まってしまった私を不安そうに見る夏目くんと目が合った
しかし、

「名取さんといるのも楽しいですけど…
できるなら私は、夏目くんと2人で出かけたいです」

すぐに答えれば、嬉しそうに頬を緩ませてくれた
…かわいい

「…仕方ない、からかうのはこれぐらいにしよう」
「からかう?」
「夏目に彼女ができたと妖が楽しそうに話してきてね
面白そうだったからついからかいに来てしまったんだ」
あはは、と笑う名取さんに悪気は全くないみたいで…
とりあえず笑って返事をしておいた
…夏目くんは怒っていたけど


「あぁ、そうだ夏目」
「なんですか」
名取さんが夏目くんの耳元で何か言った直後、少しだけ赤くなった耳が見えた


「なに言われたの?」
「いや…なんでもない
どこか、清水さんの行きたい場所に行こうか」
「うんっ」
自然と差し出された手を握りしめて2人でゆっくりと歩く


(そういえば)(ん?)(猫ちゃん、家に置いてきちゃったね)(…妖に襲われないこと祈ろうか)



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