「どうしたの?夏目くん」

初めてのちゃんとしたデートの日

夏目くんは玄関を開けてすぐに閉めた
それも、スゴい勢いで

「いきなり閉めるなんてヒドいじゃないか、夏目」

そんな声と共に扉が開かれ、入ってきたのは背の高い男の人

「いきなり来た名取さんが悪いんじゃないですか」
「君に頼みたいことがあってね」
名取さん、と呼ばれた人の言葉に、明らかに不快さを示す夏目くん

「これから用事あるので、失礼します」
「おや、デートかい?夏目」
名取さんと目が合って慌てて頭を下げる

「…帰ってください。今日は1日清水さんと出かけるので」
「そうか…」
名取さんはしばらく考える素振りを見せるとふいににっこりと笑い、私を見た

「キミ、名前は?」
「さゆ、です」
「それじゃあ、僕と夏目、それにさゆちゃんの3人で出かけようか」

なんでですか?なんて聞く余裕もないまま、名取さんに手を引かれて家を出ていた
…なんで?



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