「夏目くん、そろそろ起きてっ」
「…清水さん」
布団をめくると、夏目くんは数回目をこすってからゆっくりと立ち上がった
…可愛い、とか言えないよね
「先にリビング行ってるね」
頷いたのを確認してから部屋を出る
夏目くんと付き合いだして1週間が経過した
初めて2人で登校した日には想像以上の質問攻めにあったけど…
夏目くんがあっさりと「付き合ってるんだ」って言ってくれたから、今では周りの人たちも応援してくれている
「おはようございますっ」
「おはよう、さゆ」
「貴志くんはもう起きたかしら?」
「もう来ると思いますよ」
「どうしちゃったのかしらね?最近、自分で起きなくなっちゃって…」
「疲れが溜まってるんだろう」
滋さんと塔子さんの会話を聞きながら猫ちゃんの朝ご飯を用意する
疲れが溜まってる、のには間違いないと思う
最近、夜中に妖が夏目くんを尋ねてきては「名前を返してください」と言っているのを何回か聞いたことがある
それはやっぱり、『友人帳』と『夏目レイコ』という言葉と関係があるのだろうか?
「おはようございます」
入り口から聞こえた夏目くんの声に反応して頭に浮かんだ気持ちを振り払う
「おはよう、清水さん」
「おはよう、夏目くん」
もう詮索なんかしない、そう決めたんだ
私はただ、夏目くんの隣にいて、彼を支えていこう