「田沼に言われたんだ」
「田沼くん?」
思いがけない人物の名前に思わず名前を呟いた
夏目くんはそんな私を見て、もう一度笑みを零して再び口を開いた
「清水のこと、最近良く目で追ってるよな、って」
「………え?」
一瞬、理解ができなかった
田沼くんが、夏目くんに言ったこと、だよね?
頭の中で整理をするとはっきりと意味がわかり、繋いでいた手を異様に意識してしまう
「そう言われて、ようやくはっきり理解できたんだ」
身体が心臓になったみたいに高鳴っている
夏目くんの口が動くたびに
言葉が紡がれるたびに
自然と手に力がこもる
「俺、清水さんが好きなんだ」
夢じゃありませんように
そう願いながら、夏目くんの手をぎゅっと握って口を開く
「私も、夏目くんが好きです」