「…え、」
振り返った瞬間、自分の目を疑った

藍色の髪の毛をした綺麗な女の人
でも、人間ではない

「あなた…」
「ふふ、驚いたかい?」
口元に手を当てて上品に笑う彼女に背筋がゾクッとした

「なんの用ですか?」

妖でも幽霊でも、この世のモノではないやつには強気にいけ
そうでもしないと、夏目と違って祓う能力のないお前は喰われるぞ

前に猫ちゃんに言われたことを思い出して、私なりに強気で返す

「おや?夏目と違って強気だねぇ、あんた」
「…夏目くんを知ってるの?」
そう尋ねると、女の人はキセルをふかして椅子に座った

「夏目は、夏目レイコの孫だ」

夏目レイコ

聞き覚えのある名前に身体が強張った

「夏目レイコ、友人帳。この2つを知っているかい?」
「知りません。もう、知りたいとも思いません」
夏目くんのつらそうな表情を思い出して、軽く拳を握る

「彼が…夏目くんが話してくれるまで、あたしからは聞きません
夏目くんが一生話してくれないなら、それでいいです」
女の人は、私の言葉を聞くと一瞬、目を見開いたがすぐさま喉を鳴らして笑った

「…あの?」
「そりゃ斑が気に入るわけだ。面白いよ、あんた」

いや、本人は至って真面目に答えたのですが

頭上に¨?¨を浮かべていると、扉が勢いよく開かれた


「清水さんっ」
「な、夏目くん?」
肩に猫ちゃんを乗せた夏目くんが教室に飛び込んできた

「もっと静かに入ってこれないのかい?」
「え、ヒノエ!?なんで清水さんと?」
「斑に聞いた、『新しいお気に入り』を見に来たんだよ」
「…にゃんこ先生?」
「にゃんっ」
猫ちゃんは一声鳴いて夏目くんの肩から飛び降り、ヒノエさんの肩に乗った

「…あ、」
再び夏目くんを見て、額にうっすら浮かんでいた汗をハンカチで拭った

「清水さ…ッ」
「ありがとう、夏目くん」
「…ッ」
え、顔背けられた!?

なぜかすぐさま顔を背けた夏目くんに軽くショックを受けながらポケットにハンカチをしまう
…やっぱり馴れ馴れしくし過ぎたかな


「夏目もまだまだガキだな」
「さゆが抜けてるとも言えるけどね」



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -