「ねぇ、聞いた?」
「聞いた聞いたっ夏目くんと清水さんって付き合ってるんでしょ?」
上靴を取ろうとしていた手の動きが止まる
…なにそれ?え、私って夏目くんと付き合ってたっけ?
「2人でいるとこ見た人いっぱいいるし、手繋いでたらしいよっ」
「えー…私、夏目くん狙ってたのになぁ…」
「諦めなって。小学校からの知り合いにはかなわないってば」
女の子たちは笑いながら下駄箱を離れて行った
あの妖に連れてかれた日のことか…ッ
「一緒に住んでるからよくいるんだよね」
なんて言えるわけがない
「…とりあえず教室行こ」
ため息を1つついて教室に向かう
…その途中で、
「わ…ッ」
後ろから腕を引っ張られた
その勢いで空き教室に入る
「清水さゆ」
口を塞がれ、耳元で囁かれた名前に背筋がゾッとした