「んー…」
「…さん」
「うー…」
「清水さん」
「…きゃーッ!!」
目を開けた瞬間、視界いっぱいに広がっていたのは夏目くんの顔

「…ご、ごめんっ夏目くん…ッ」
「いや…俺こそごめん」
驚きのあまり殴ってしまったお腹を押さえながら夏目くんが小さく口を開いた

「あの…夏目くん、どうしたの?」
時計を見ると、まだだいぶ時間は余っている

「にゃんこ先生来てない?」
「猫ちゃん?…あっ」
「…あっ?」
「一緒に寝たくて、夜中に夏目くんの部屋から連れてきちゃった」
あはは、と笑いながら布団に頭まで埋まっていた猫ちゃんを出す

寝苦しくなかったのかな?

ずっと埋まっていたのに寝続ける猫ちゃんをぎゅうっと抱きしめる
…起きない

「清水さん、夜中に部屋に入ってきたの?」
「…やっぱ無断で入っちゃダメだった?」
ちょっと低くなった夏目くんの声にビクビクしながら尋ねる

「いや、無断なのは別にいいけど…」
「けど?」
「…夜中に男の部屋入らない方がいいよ」
「え?」
「じゃあ、もう少ししたら1階に降りてきてね」
「え、あ、はい」
呆れたように呟いてから夏目くんは部屋を出て行った

「…なんだったんだろ?」
「男心のわからんやつめ」
「あ、猫ちゃん」
「さゆがこんな調子じゃ、夏目が不憫だな」
「あっ」
猫ちゃんは私を横目で見ると、軽快な足取りで部屋を出て行った

「…やっぱ無断で入ったこと怒ってたのかな」
布団をたたみながら呟く

男心は難しいなぁ…



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -