「夏目くん」
「清水さん」

お互いに見つめ合ってキスをする雰囲気に…なんてなるわけもなく、

「こいつ…¨み¨える?」
「…¨み¨えちゃってますね」
視線をズラして夏目くんの指差す¨それ¨を見て小さく呟く

どう見ても人間ではない¨それ¨は私たちに気づくと、慌ててその場から走り去った

「…私、ホントに¨み¨えてるんだね」
今まで一回も¨み¨たことなかったのに、なんでいきなり…

湧き上がってきたのは、驚きと戸惑い
それに、

夏目くんの¨み¨えていた光景へが理解できたことへの安堵

「ぅ、わっ」
突然感じた頭の重みに思わず声が漏れた

「なっ夏目くん?」
「大丈夫だから」
「え?」
「清水さんのこと、妖から守るから」
私の頭を撫でながら微笑む夏目くんに、自然と顔に熱が集まっていく

「あ、ぅ…」
「清水さん?」
「な、夏目くん、天然タラシ…ッ」
パッと視線を逸らして言えば、夏目くんは驚いた表情をした
頭を撫でられながら

そんな表情でそんなこと言われたら意識するに決まってる
しかも、夏目くんみたいにカッコいい人ならなおさらだ
…なんか私、夏目くんのこと、好きになる気がする

なんて、甘い雰囲気になったのも束の間


突然感じたのは、浮遊感と身体を締めつけられる息苦しさ

「清水さんッ!!」
「さゆ!!」
夏目くんと猫ちゃんの私を呼ぶ声を最後に、私は瞼を閉じた



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