なんなんだろう、これ?

夏目くんに握られた手に緊張しすぎて心臓がうるさいとか
久しぶりに全力で走って足と肺が痛すぎるとか
気にするところはいくらでもあるんだけど…


「っ撒いたか!?」
「もう大丈夫だ…いいのか?夏目」
「何がだよ、にゃんこ先生」
「さゆも連れてきてどうする」
にゃんこ先生は短い(小さい、って言った方がいいのかな?)前足を動かしながら私を見た

そして数秒の間


「清水さん…ッ」
「あ、はい。清水さゆです」
「やっちゃった…」と沈む夏目くんの肩にポン、と手を置く

「えーと…楽しかったよ、久しぶりに全力疾走して」
励ましになるのかはわかんなかったけど…
夏目くんが心底安心したように座り込んだから、正しかった選択らしい


「…でも、さっきの人と話しなくて良かったの?」
「え?」
「いや、だって…草むらの中から出てきて夏目くんのこと呼んでたじゃない」
そう言った瞬間、繋がれた手から夏目くんの緊張が伝わってきた

「清水さん、まさか…」
「夏目、さゆも¨みえる¨ようだ。これは厄介だぞ」
「え、なに?」
顔を強ばらせる夏目くんの表情も、考え事をするように眉間に皺を寄せている猫ちゃんも

なにか空気がおかしかった
…もしかして、

「これが、夏目くんが今までずっと見てきた景色なの?」

そう呟くと、夏目くんは苦しそうに眉をしかめた



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