「えーと…」
「あの、」
「あっここ、ここだよ夏目くん」
「清水さ…」
塔子さんから受け取ったメモを片手にお店の中をぐるぐると回る

「清水さんっ」
「え?」
少し声を張った夏目くんに驚いて足を止める



「あの…手…」
「手?」
「手、繋いだまま、なんだけど…」
「…ごっごめんッ!!」
すっかり忘れていた繋いでいた手を慌てて離す

き、気まずい…ッ

「なにを手繋いだくらいで赤くなっておる」
「にゃんこ先生ッ」
「ね、猫ちゃん…ッ」
猫ちゃんは小馬鹿にしたように笑うと、「早くしろよ、腹が減ったわい」と言った

「あ、かくなんてなってないからっ」
図星をつかれ、夏目くんから離れて頼まれ物をカゴに詰めて会計を済ませる

「…重い」
「女の子なんだから、持てるわけないだろ」
「夏目くんっ」
いつの間にか後ろに来ていた夏目くんは、私の手から袋を取ると、スタスタと歩き出した

「い、いいよっスッゴい重いし…ッ」
「重いならなおさら俺が持つ」
「でも夏目くんの細腕じゃ…」
「さゆもモヤシだと言ってるではないか」
「言ってないっ」
猫ちゃんが目を細めて笑いながら言った

あぁ…
夏目くんめっちゃ睨んでるじゃないかッ


「帰ろっか、清水さん
あっにゃんこ先生はいいから」
「な、夏目くん…」
目が笑ってないんだけど…ッ



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