「えーと…とりあえず、リビングに行こうか」
「うん」
ようやく状況把握ができたらしい夏目くんに続いて階段を降りる

猫ちゃん連れて来ようとしたら、めいっぱい嫌がられた
…泣きたくなったよ、私


「塔子さん」
「あら、貴史くん。それと…貴史くんの彼女さんかしら?」
「え…」
「ちっ違いますよっ」
そんな力いっぱい否定しなくてもいいじゃないか


「はじめまして
今日からここでお世話になります、さゆです」
「あなたがさゆちゃん?
もー雪絵さんってば、写真送るの忘れてたのよ
だから気づかなくて…ごめんなさいね」
「いえ、間違いなく120%母が悪いので気にしないでください」
そう言えば、塔子さんは上品に笑った

なんなんだろう、この違いは

電話口で笑っていたお母さんの声を思い出してちょっとだけ苦笑いが漏れた

「あっそうそう。2人にお願いがあるんだけど…」
「「え?」」
お互いの声が重なり、小さく首を傾げる


「お買い物、行ってきてもらえないかしら?」
「多ッ!!」
塔子さんから受け取ったメモを見て、思わず声を上げる

「必要なものを書いたらこうなっちゃって…
だから2人で行ってほしいの…ダメかしら?」

眉をひそめる塔子さんに、胸がきゅんとした

かっ可愛い…ッ!!

「いえっ喜んで行かせていただきますっ
行くよ、夏目くん!!」
夏目くんの手を掴んで塔子さんに笑顔で手を振りながら家を出る

もー…ッ塔子さん可愛すぎるッ

キャーッと内心叫びながら歩いていると、いつの間にか夏目くんの肩に乗っかっていた猫ちゃんに頬を蹴られた

「ちょ…ッにゃんこ先生!?」
「いや…なんかムカついたからな」
「えぇ!?」



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