「ねぇねぇっ
清水さんと夏目くんって知り合いなの?」

休み時間になった途端に質問攻めに合う

「小学校が同じだったんだ」
「へー…ねぇ、なんでここに引っ越してきたの?」
「お父さんの転勤でね。ここの近くに異動になったんだ」
よく思いつくなぁ…
と感心するくらい、次々に繰り出される質問に答えていると、

「清水が困ってるだろーほら、早く席つけ」
「げっさっちょんッ!!」
「佐山先生、だろーが」
佐山先生はクラスメートの頭を名簿で叩くと、ダルそうに教卓に向かって歩き出した

…さっちょん
口元を隠して軽く笑う
あんなにダルそうな先生なのに、あだ名が女の子みたい…

「変わったよね、清水さん」
「え?」
口元から手を離しながら夏目くんを見ると、

「スゴく明るくなった」

なんて言うか…思わず惚れちゃいそうなくらい綺麗な笑顔で言われた

「…夏目くんは、雰囲気が柔らかくなったよね」
「そうかな?」
「うんすっごい、優しくなった」
自分で言っておいて恥ずかしくなり、変な笑顔になってしまった

「あっそうだ、夏目くん」
授業を開始した佐山先生を横目に、夏目くんに机を近づける

「あのさ、」

ずっと気になっていた

彼は本当に¨何か¨が見えていたのか

みんなは
「構ってほしくて嘘をついてる」
なんて言ってたけど、¨何か¨に怯えていた様子は、とても嘘をついてるようには見えなかったから

でも、

「ん?」
再び夏目くんの顔を見た瞬間、なんだか聞いちゃいけない気がして…

「な、なんでもないっ」

慌てて教科書に視線を落として夏目くんから目を逸らした

しばらく、変な動悸が止まらなかった



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