最後に覚えているのは
東条さんに殴られて川に落ちた辰巳の姿を見て近づこうとした瞬間感じた自分の身体が傾く感覚
「…ん、」
身体が揺られる感覚に目をうっすらと開けると、真っ黒な服が目に飛び込んできた
「起きたか?」
「た、つみ?」
「おう」
ボーッとする頭を必死に働かせる
辰巳が、おんぶしてくれてる?
「…そっか、夢だ」
ポツリ、と呟いて首に回されていた腕にぎゅっと力を込めた
「おい、さゆ…ッ」
「…寂しかった、辰巳に突き放されたとき、寂しすぎて死んじゃうかと思った」
涙が頬を伝わって辰巳の服に染み込んでいく
「さゆ、なんで泣いて…」
「好き」
「は?」
「辰巳が好き、なんだもん。好きな人に突き放されたら、悲しいんだよ…ッ」
その直後、辰巳が立ち止まり、私を背中から降ろした
「たつ…ッん、」
突然塞がれた唇に、ただでさえボーッとして仕方ない頭が、さらに働かなくなる
「オレだって好きだっつーの、バーカ」
そう言ってもう一度キスされた
…ほら、やっぱり夢だ
辰巳が私を好きなんて、