「んで、辰巳。邦枝さんにベルちゃんをおしつけるって、どーするつもり?」
「あん?」
「いや、だって、確かに邦枝は強かったけどさ、全然悪じゃないじゃん
まさかかってにベルちゃんがなつくとか思ってんの?」
私に続いて口を開いた古市の言葉に、辰巳があからさまに動揺した
…思ってたんかい

「さゆ、古市。男は気合いだぜ」
「うるせーよ」
「ようはノープランなんでしょ」
「バカさゆ、古市
女王だぞ女王!?王!!魔王がなつかねーわけねーって」
「女王、ってあだ名だからね」
古市に蹴られてもめげずにドヤ顔で話す辰巳にため息が漏れる

ずーっと昔から一緒にいるのに、いまだに辰巳の考えてることがわからない

「男鹿ちゃーん」
「あっ夏目さん」
「邦枝とやり合ったんだって?なんだよ早ーよ。見たかったのに」
窓から身体を乗り出して話す夏目さんを見る

「ま、でも決着つかなかったんだろ?あいつ強ーもんなー」

「誰だっけ?」
と夏目さんを指差している辰巳は放置しよう

「あとは東条だよなー楽しみだなーなんせ石矢魔最強だもんなー」
「石矢魔最強?」
やっぱりくいつくんだ…

「ああ、知らねーか?ま、連中、勢力争いに興味ねーから知らねー奴も多いけど。最強は間違いなく東条だよ」

東条さん…会ったことないよなぁ…

そんなことを考えていると、

「男鹿辰巳…」
後ろから辰巳の名前が聞こえた

「…ちょいとツラかしてもらおーか」
あ、邦枝さんと一緒にいた人たちだ
…あんま良い雰囲気じゃないけどね



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