「女王?」
「ああ。なんか噂でさ、石矢魔の女王が帰ってくるって。すんげー美人らしーぞ」
「帰ってくる?」
かなり浮かれてる古市に軽く引きながら尋ねる

「なんでもウチの女子全員連れて遠征に行ってたとか…」
「へー」
「女王ねー」
辰巳と2人揃って呟き、興味なさげにあくびをする

女王、ねー…

「は?」
「なに?キモ市」
女の子をガン見している古市を見てベルちゃんの頭を撫でる

え、キモッなに女の子ガン見してんの!?

「『は?』じゃねーよ!!それにさゆ、キモ市じゃねーッ!!」
「あーはいはい」
「お…おう」
「んで、なにさ」
目の毒、と言わんばかりにベルちゃんの視界に古市が入らないように向かい合う

「だーかーらーっ女王見に行こうっつってんだろ!!何聞ーてたんだお前らは!!」
「あ…ああ」
「そしてなんだそのテンションは!!」
「だって興味ないもんね〜」
とベルちゃんに言えば、
「ダーアウッ」
と手を私の顔に向かって伸ばしてきた

あーもうっホンット可愛いッ!!

「いいか男鹿!!お前は事の重大さがまるでわかっとらん!!周りを見ろ!!
女子!!女子!!女子!!石矢魔にこんなに女子がいんだぞ!?」
「いや、だってうち共学だろ?さゆいんだろ」
「さゆは別だろ!!」
「おいこらキモ市」
はっきり言い切った古市の頭を叩く

別に古市に女の子扱いされなくても全然構わないけどさ

「だがしかぁしッ!!これからは違うぜ!!なぁ、男鹿!!恋しちゃっていいかい!?」
「うざっだいたい辰巳、好きなコいるじゃん」
軽蔑した目で言えば、辰巳と古市の動きが止まった

「え、なに?」
「さゆ、なんで知ってんだよ!?」
「ようやく気づいたか!?」
「美咲さんに聞いた。辰巳にはずーっと前から好きなコがいるって」
慌てる辰巳と嬉しそうな古市

なんなんだ、この反応の違いは…

「他には!?」
「スッゴい鈍くて可愛いコ、って聞いた
…って、なんで沈んでんのよ」
今度は辰巳は沈み、古市は肩を震わせている

「そこまで聞いて気づかないさゆってなんなんだろーな…」
古市は沈んでいる辰巳の肩に手を置いて言った

「私がなに?」
「いや、いいや…」
辰巳は息を吐くと、
「女子っつったってどーせそいつらも不良だろ」
さっきの話に戻した

「いやいやっ聞いた話じゃ大和撫子だってよっ
少なくともその邦枝ってのは!!」
「だだだっ髪ひっぱるなっつのッ」
テンションが戻った古市は辰巳の髪の毛を掴んで走り出した

「なんでもうちのアホ男子共の魔の手から女生徒を守ってるとかっそれでついたアダ名が女王!!
これで見に行かねー手はねーだろッ」
「つーかその流れだとお前もぶっとばされんじゃ…」
「古市が一番アホだしね」
一緒に走りながら女王のイメージを思い浮かべる

なんかこー…マッチョ?

「女王ー」
悶々していると古市が声を張り上げた

「男鹿辰巳覚悟なさいッ!!アンタの悪行もここまでよ!!」
女王は辰巳に木刀を向けた

この人が女王?
え、全然マッチョじゃない!!つーか美人ッ!!



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