んー…いいねぇ、石矢魔は
遅刻なんかないんだもん

「おはよー古市」
当たり前のようにのんびり登校して屋上で携帯をいじっていた古市にあいさつをする

「はよ、…あれ?男鹿と来てないの?」
「…辰巳なんか知らないし
あの美人なヒルダさんと朝から仲良くしてんじゃないの」
あ、思い出しただけでヤな感じ

ムスッと頬を膨らまして言えば、古市に髪の毛をグシャグシャと撫でられた

「ちょっバカ古市ッ髪の毛乱れる…ッ」
「いやー、さゆも女の子だよなぁ」
「はぁ!?」
ケンカ売ってんの!?コイツッ

「ヤキモチ妬くなんてなぁ」

古市が何か納得したように頷く

あー…やっぱうざいわ、古市

なんて当たり前のことを再認識していると、

バタンッ
勢いよく屋上の扉が開き、辰巳が背中にベルちゃんを乗せて倒れ込んできた

「…辰巳、大丈夫?」
「大丈夫に見えるか?今日だけでもう6回だ」
間違いなく辰巳じゃなきゃ死ぬよ

「…やべぇぞ、さゆ、古市…
このままじゃ、まじであの夢の様になる…死ぬ…
確実にオレ死ぬ…っっなんとかしなければッ」

「夢?」
軽く目が血走っている辰巳の背中からベルちゃんを下ろして抱きかかえる

「ああ…恐ろしい悪夢だ…」


「いや、それさ…」
「何一つそーならないと断言出来ない所が恐ろしいな…」
「だろ?」
私らも死んじゃうんだけど

…そっか、ベルちゃんは人間を滅ぼしに来た魔王なんだよね

「ダ?」と私を見上げてくるベルちゃんをギュッと抱きしめる

ベルちゃんはおっきくなったらどうなっちゃうんだろう…

「つーか改めて考えてみると、もしかして人類の未来って…お前の肩にかかってる?」
「…ははっまさか…」
「だよなーっ」
みんなで笑う

いや、そんな人類の未来が辰巳の肩にかかってるなんて…

「って誰ーッ!?」
当たり前のように輪の中に入って笑っていたおじさんを見る
「アハハハハッ私ですよ、私」
「しっ知りませんッ」
マジで誰!?

「あ…まさか…」
「辰巳の知り合い?」
「あの時川で流れてきた…」
「そうです。次元転送悪魔、アランドロンです」
「いや、それは知らねーけど…大きなおっさん」
「あの割れた人!?」
「でかッ!!」
古市と驚いていると、

「フ…あなたの事が気になってね…少し様子を見に…」
「次元転送だぁ?このやろう
今頃のこのこと…てめーのせーでオレがどんだけッ」
「うんうん。いーですよ、そーゆーとこ
でもちょっと話きいてくれます?」
唖然としてる間になぜか始まった辰巳とアランドロンのきっかけ


「いいですか?私とてやみくもに二つに割れたわけではありません」

二つに割れた、がおかしいんだけど

「あ?どーゆー意味だ?」
「坊ちゃまはなんせ魔王ですからね
まず強い者にしかひかれません」
「…いや、ま…ね」
あ、ひるんだ

「そしてさらに、
凶悪で残忍で傍若無人で人を人とも思わぬクソヤローであればサイコーです」
「お前じゃん」
古市遠慮ねぇぇッ!!

「ええ。私も薄れゆく意識の中、あなたが大勢の人間を土下座させ、高笑いしているのを見て確信しました
あぁ、この男になら坊ちゃまを任せられると」
なるべくしてなったんだ…

「まて−ってことはあれか?
オレより強くて凶悪でクソヤローがいたらそいつが親に選ばれるって事か?」
「ええっ嫌なんですか?坊ちゃまの親…」
「あたりめーだボケ。で、どーなんだ?」

アランドロンは少し考えると、

「そりゃあ、確かにそんな人間がいれば…そーなりますかな…」

と言った

「いや、いねーよそんな奴」
「辰巳の今の顔人殺しそうなんだけど」
「フフ…ばかめ、さゆと古市。忘れたのか?」
「え?」
「ここは天下の不良校・石矢魔高校だぞ?」

そして数分後、

ガラッ

「神崎くんいるぅー?」
3−Aの教室の扉を足で開けた辰巳が、ベルちゃんの手を上げながら満面の笑顔で立っている姿があった

バカ過ぎるんだけど、こいつ…ッ



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