ミス・ピンヒールのお人柄


3.ミス・ピンヒールのお人柄



ああ言われてしまえばもうバーナビーにできることなどなく、一応もしかしたらと10分程は待ってみたのだが帰ってくるはずもなく。とりあえず言われたことはこなしたのだからと無理にでも自分を納得させてバーナビーはその場を後にした。
最も、あと何時間か待っていれば明日また顔をつきあわせることをしないでも済むのはわかっていたのだがこんなところで仕上がりの時間もわからないまま居たくはない。
会社に戻っても出動や目立った仕事はなかったようでほっとしながら、トレーニングルームのあるジャスティスタワーに向かえば、気の抜けた虎徹の声がバーナビーを迎えたのだった。

さすがにあのやり取りで疲れたのが表情に出ていたのか、虎徹の声があまりにバーナビーを気遣うので、完結にことの次第を告げれば虎徹は深くため息をつきながら頬杖をついた。



「…なんつーか、初めの頃のお前だぞそれ」
「比べないでください」



黙々とランニングマシーンで走り込みを続けるバーナビーの機械に凭れるようにしながら、虎徹が呆れたように言った。
初めの頃と言われても、最低限の会話は可能だったし第一バーナビーからしてみれば多少はつっけんどんだったことがないとは言い切れないが、少なくともあれよりはマシだと思っている。初対面でおじさん、と揶揄したことは考えないで置こう。



「いやいやいやつっけんどんっつうか叩けば嫌みしか落ちてこねぇって言うか」



今はまだ良いけどよ、と、いつ頃の話を思い出しているのか、虚ろな記憶を辿るように虎徹が呟き思わずバーナビーもマシンを止める。



「……そんな風でしたか」
「他人の振り見て我が振り直せってことわざしってるか」
「………By others faults wise men correct their own」
「よくできました」



たぶん、ただの同族嫌悪。


(明日少しは自分の教訓として生かせますように)

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(110802)

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