*愛というものは
手の甲に、ピリリとした痛みが走った。
ゆっくり視線を向けると、2つの赤く細い線が引かれているのが見てとれ、思わず眼前の白い頬を叩いてしまいたい衝動に駆られた。
あぁ、だけれど。
泣きたいのは自分の方であると言うのに。
「や、やぎゅう、すまん」
「仁王くん…」
「ごめんなさい、あ、謝るけ、嫌わんで……」
「…こんな傷、放っておいてもすぐに治ります。あなたが気に病むことなどありませんよ」
まろやかな頬を次々すべり落ちる透明な雫を見ていたら、痛ましくて可哀相で、そしてとても満たされた気持ちになった。
「比呂、好きじゃ…ごめんな」
私に縋りつきながらも愛を口にし、そして同時に断罪を求める彼は酷く狡猾だ。無意識ならば、尚更。
「私もあなたが好きです」
意のままに支配しきれない彼を、愛しさの余り殺してしまいたくなる。優しくしたいと思うのに、矛盾した想いを同時に抱えているのだ。
安心したように私の腕の中に収まる彼を見ると、ため息しか出てこない。
***
社会人柳生とショタ猫仁王っていう設定なんですけど…どこが?^^
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